三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第33話 人型モンスター(2)
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王様に対してもその技術を使って性格を変え、うまく操りたいからだろう。本人がはっきり言ったわけではないが、まあ確実だ。間違いはない」
「え、どうしてです?」
「そこも察しろ、かな。彼は大魔王様を利用したいだけだ。彼は旧魔王軍の研究者だが、もともと強い権力欲や野望を持っていた。だが彼自身に人望はないし、力もない。だから大魔王様の名前と能力を使いたいのだろう」
これはシドウにとって意外なことだった。
ダヴィドレイという男は、純粋な気持ちで大魔王復活を望んでいるわけではないというのである。
「なるほど。でも、そういうことを話してしまっていいんですか」
「知らないことは不幸なことだ。お前はこうやって勧誘を受ける以上、事実を知ったほうがいい。今のは聞かれなくても言うつもりだった」
目の前の青年の笑みが、やや複雑になったような気もした。だがシドウには、それが何を意味するのか洞察することはできなかった。
「それに、勧誘を拒否した場合、お前をここで討伐するつもりだからな」
「……」
それも言ってしまうんだ、とシドウは心の中でつぶやく。
このエリファスという人物はどうもよくわからない、とシドウは思った。
勧誘に来たと言うのだが、この誘いかたである。本気で勧誘する気があるのだろうか? とも思ってしまう。
それに、この人物はダヴィドレイの部下だと思われるのだが、それにしてはダヴィドレイは呼び捨てで、大魔王のことは敬称。いったいどういうことなのだろう。
「さあどうだ? お前は半分ドラゴン。こっちに来たら一気に幹部待遇になるだろう。この勧誘に乗るか?」
シドウの混乱をよそに、黒い空へと手のひらを向け、手招きをする銀髪の青年。
「ざんねーん! シドウがそんなの乗るわけないでしょ」
なぜかティアが返事をした。
「なんだ娘。なぜ本人よりも先に答える」
「だってあんた、あまりにもシドウを知らなすぎるんだもの。シドウはね、どんなときでも人間の味方をするようにお母さんから言われてるの。このマザコン男は絶対にお母さんには逆らわないよ?」
「ティア。下がってて」
彼女がふたたび前に来ていたので、シドウは声と手をかけ、後ろに引き戻した。
ただ、エリファスに向かって「あっかんべー」をしている彼女の言っていたことは、まったくそのとおりだった。こんな話に応じるわけはない。
また彼女の先走りで落ち着きを取り戻したシドウは、相手の目を見て答えた。
「ええと……。母から『どんなときでも人間の味方をしろ』と言われているのはそのとおりです。
それに加えて、新しいアンデッド化技術の開発というのは、人間だけでなくこの世界そのものに悪影響を与えます。聞いてしまった以上、俺は全力で阻止
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