二十五 野心
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滝の轟々とした唸りと、互いへの敵意がその場を制する。
その満ちた険悪な空気を切り裂いたのは、崖からの声だった。
「じゃれ合うのはそこまでにしておきなさい」
降ってきた声に、サスケとザクは反射的に崖を見上げた。
滝を見下ろした大蛇丸が呆れ顔を浮かべている。
忠誠を誓う大蛇丸に酷く動転するザクの隣で、サスケは涼しい顔の裏で内心動揺していた。
(……どこまで聞かれた?)
うずまきナルトを殺す野望を聞かれたところで木ノ葉のスパイだとはバレるはずもない。だが、野心はなるべく秘密にしておきたい。
ナルトと大蛇丸に接点があるとは知らないサスケは怪訝な顔で崖を見上げる。
サスケの胡乱な眼つきに、大蛇丸は肩を竦めた。
「そんなに睨まないでちょうだい。修行してたところを邪魔したのは悪かったわ」
いつのまにか仲良くなったのねぇ、と微笑ましげに自分達を見下ろす大蛇丸に、サスケとザクは同時に「「誰がこんなヤツと…ッ」」と反論した。
お互いに睨みつけながらもサスケは心の中で安堵する。どうやらナルトが獲物だという会話は聞かれていなかったようだ。
切磋琢磨して修行する仲だと勘違いされたのは甚だ遺憾だが。
「でも、そろそろアジトに戻ってちょうだい。暫く留守を頼みたいのよ」
パンパン、と手を打ち鳴らして促してくる大蛇丸に、サスケは眉を顰める。
「…留守?何処かへ出かけるのか」
サスケの問いに、大蛇丸はうっそり嗤う。
嫌な予感がしたサスケが更に問い質そうとする横で、ザクが「お任せください、大蛇丸様」とあっさり承諾した。
「良い子ね」
ふ、と蛇を思わせる瞳を細めた大蛇丸は、一瞬、滝の向こうに視線を投げると、崖から立ち去る。
その後ろ姿を怪訝な顔で見送ったサスケは、寸前の大蛇丸の視線の先を追った。
滝の向こうに連なる山々。
草隠れの里がある方角を透かし見るようにして、彼は内心舌打ちした。
(雲行きが怪しくなってきたな…)
先ほどの大蛇丸の視線の先。
それは、草隠れの里にある天地橋を指し示していた。
「ナルト。鬼童丸と、右近・左近のことなんだが…」
あまり自分に話しかけない相手から声をかけられ、ナルトは顔をあげる。
真っ直ぐな瞳の蒼に見据えられ、一瞬うろたえるも、次郎坊は意を決して訊ねた。
「見殺しにする気じゃないだろうな…?」
かつてサスケの里抜けに助力した『音の五人衆』、結果的に『根』に捕らえられた『音の五人衆』────君麻呂・多由也・次郎坊、それに鬼童丸と右近
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