二十五 野心
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を与え、交渉しに来たナルトに、ドスとキンはあっさりついて行った。
だからザクは強さを求める。ナルトと共に自分の許から立ち去った二人を見返す為に。
そうしてドスとキンを誑かした張本人────うずまきナルトを殺す為に。
ナルトについて行こうと決めたのはドスとキンの意思だ。
それがわかっているからこそ、ザクはナルトが許せなかった。
ただの八つ当たりだとは承知しているが、割り切れないものがあるのも事実。
中忍本試験前に我愛羅を襲い、逆に返り討ちに遭ったあの時も、自分を助けたナルトがザクは気に入らなかった。
サスケ以上に気に入らない存在だった。
「てめぇがどれだけ大蛇丸様に気に入られてようと、俺のほうが絶対強くなってやる…ッ!!」
自分を指差し、咆哮するザクを、サスケは素知らぬ顔で受け流していた。
だが、次のザクの言葉は聞き逃せなかった。
「そして殺してやる…!あの、うずまきナルトを…!!」
「………なに?」
今までザクの話を一向に聞いていなかったサスケは、そこで初めてザクの顔を見た。
感情が窺えなかった端整な顔立ちに、微かだが、憤怒の色が過ぎる。
「ふざけるな。アイツを殺すのはこの俺だ」
サスケは木ノ葉のスパイだ。
里抜けし、兄と同じスパイの道を選んだ時、覚悟は決まっている。
たとえ世間では抜け忍とされても、裏切り者と蔑まされようとも、闇に染まる気はない。
大蛇丸と同じ、深い深い淀んだ闇に堕ちるつもりはない。
だが、胸に秘めた野心だけはサスケの中で常にくすぶっている。
己の兄…うちはイタチを殺した――うずまきナルトへの復讐。
兄の仇を討つ野望。
それは自分の手で成し遂げねば意味がない。
ならば、同じくナルトを殺す野心を秘めているヤツは味方ではない。
敵だ。
急に顔色を変えたサスケを前に、ザクは動揺する。
先ほどまでまるで無かった敵意や殺意が剥き出しになっているサスケを眼にして、驚く一方、ザクの胸には言いようがない歓喜が湧き上がっていた。
今まで自分など眼中にないとばかりに振舞っていたサスケが自分を敵視している。
たったそれだけで、酔いしれるほどの優越感を覚えたザクは、サスケを更に煽った。
「てめぇこそ、寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ。俺の獲物だぜ」
「アイツはお前に殺される程度の存在じゃない」
「なんだと…!」
額を小突き合わせるほどの距離で、ザクはサスケの胸倉をつかむ。
怒りを露わにするザクに反し、サスケは涼しい顔だ。だがその瞳には確かに敵意の色が宿っていた。
「「うずまきナルトを殺すのはこの俺だ…!!」」
暫しの沈黙。
ただ、
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