そして少女は業火と為った
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かけたりはできないって想像つくでしょ? チャンピオンの仕事だってあるんだし。俺以外に頼ろうにも自分の不正した事実は明るみに出来ないわけで」
まさか、四天王辺りに僕は実は友人に不正をするように仕向けてチャンピオンになったんだ!なんて言えるわけないでしょ?と。
「そこで俺が必要だったってわけだよ!……っていうか、そうなる様に俺が話を持ちかけたんだけど」
そういう千屠の声は、震えていた。恐怖にではない。興奮。気分が高揚しすぎて暴れまわる直前の子供のそれで。
「で、この一連の流れを合わせて言わせてもらうけど……」
凶悪な、我利を求める悪鬼のように千屠は叫ぶ。
「勿論、どうすれば俺とダチが生き残れるか真剣に考えた結果の提案出会って俺はお前ら全員がどうなろうが知ったこっちゃねえし?むしろ隙を見て全員殺すつもりだったわけで。四葉姉ちゃん含めて全員俺らが生き残るためだけにあたふたしてたんだよねー!なーダチ!!」
「オオンッ!!」
「あははははははっ!!四葉姉ちゃんも頭いいのにさー。直情バカの友人一人の為にこんな途方もない嘘ついて、立ち直ってもらおうなんて馬鹿なこと考えちゃってさあ。奏海も自分の夢を叶えるためには別の跡継ぎがいるとか言って必死に偽装に協力してさあ!他人のしがらみに振り回されてすぐばれる嘘なんかついちゃって、だっせーの!!この世界は自分が生きられればそれでいいんだ!他人との関係なんて利用できるときだけ利用すればいいし、要らなくなったらばっさり切り捨てればいいんだよ!!みんな、人付き合いがへったクソだよねー!!おかげで俺みたいな殺人鬼一人にこんなに振り回されてくれるんだからさあ!!」
けたたましい笑い声が血濡れたジムに響き渡る。耳障りで聞くに堪えないそれは、他人の都合など一切考えない、自由で独りよがりの哄笑だった。
そして、それが、ほんの少しだけ収まった時──涼香は、対照的に静かに。千屠に言う。
「……最期に、一つだけ答えなさい。四葉の約束を反故にして逃げず、わざわざ私達を殺そうとする理由は?」
「……はっ、なにそれ。殺人鬼の思考回路なんかに興味あるの?」
「答えて」
大山のような重さの声に、千屠の体の震えが止まる。過呼吸にでもなったのか息を荒さを落ち着けるように息をついて。
「俺の名前は千屠だよ?千人の千に、屠殺の屠と書いて千屠。今までもいろんな地方を回って俺とダチで好き勝手殺してきたけどさ。一個、叶えたい夢があったんだよね。ただただ一生ずっーと殺し続けて千人目、じゃつまんないしー。なあ、ダチ」
「……オオッ?」
首を傾げるオオタチに構わず両手を広げ、記念すべき栄誉を称えるように誇らしげに。彼は言った。
「一生に一度くらいは!もっと残酷に醜悪に極悪に残虐
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