そして少女は業火と為った
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とした口調で人を殺したと。
「手に入れたばかりのポケモンを奴隷みたいに扱って、それで自分が強いみたいにイキり倒してたのがむかついたからさ。まあさっくり殺しちゃったんだけど……それがこれから旅に出るトレーナーだっていうんだから笑えるよね。で、そんな大事なトレーナーを殺したことに怒った四葉姉ちゃんに捕まったというわけだよ」
刹那的な感情で動く獣のように、短絡的な子供のように勢い任せな行動をずらずらと並べる千屠。業を煮やした涼香が問う。
「……なら、あんたはどうして自由にしてるの」
「俺ってさあ。たくさん人やポケモンを殺して来たし、殺す奴も見てきたから。顔を見ればそいつが人殺しかどうかわかっちゃうんだよねー」
一転。千屠の目が死神の鎌のような弧を描いて心底愉快そうに笑う。
「四葉姉ちゃんを見た時も、すぐにわかったよ。この人は人を殺してる。しかもすごく苦しんでるって。だからさあ……捕まった後、聞いてみたんだよね」
『自分のこと棚に上げて、人を殺したことを責めるのってどんな気持ち? むしろ人を殺した苦しみってどんな気持ち?』芝居がかった口調。涼香の拳が震え、千屠を睨みつけた。
「そしたら、まあどうせ罪人だしと思ってたのか割と素直に話してくれたよ? 自分がチャンピオンになりたいがために友達を陥れて、その弟を死なせて、失意にくれる友人を放ってチャンピオンとして仕事をしてるって」
やはり四葉は自分が涼香の弟を殺したという罪悪感に苛まれていたという。よほど強い苦しみでなければ、思慮深い四葉が千屠に伝えることもなかっただろう。
「今の話を聞いた俺は考えたんだよねー。俺とダチが生き残るためにはどうすればいいかって。で、四葉姉ちゃんから今の話を聞いて思いついた。大切なお友達にもう一度立ち直ってもらうために、俺達で『悪役』になろうって。お友達と新人トレーナーにちょっかいをかけて絆を深めてもらったりすれば、お友達は元気になってくれるかもしれないじゃん? 弟の死なんて忘れてさ」
「……私は、忘れたりしない」
「そんなことあの時の俺と四葉姉ちゃんがが知るわけないじゃーん?一年間も引き籠っといてよく言うよ」
正論だ。だが自分たちと何の関係もない人間に言われたくはない。そんな心情さえもお見通しなのか、千屠はまあもう少しだから落ち着いてよ。などと言う。
「というわけで、四葉姉ちゃんがチャンピオンとして暗躍、俺が直接君らの前に出て引っ掻き回すっていう役割分担だったんだ。勿論俺は旅の間君らを殺すつもりはなかったし、そんなことしたら今度こそ死刑っていう条件付きでね」
「……なんで、四葉はあんたなんかにそんなことを頼んだのよ」
「またまたー、なんとなくわかってるくせに。四葉姉ちゃんは体が丈夫じゃないから、一々ちょっかいを
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