巡狩執行
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巡に奏海、明季葉の三人は初めてのポケモンジムの最奥で、ジムリーダーとバトルをしていた。今年3人一緒に旅をするにあたり、ジムへの挑戦も一人ずつではなく三人で協力しながら行うルールに変わっていた。その分相手のトレーナーが出すポケモンが強くなっているそうだが、一人の手持ちは少ないながらそれを補うタイプ相性の良さ、また涼香に教わった戦術を駆使して巡を中心に戦う彼らの息はとてもあっていて、苦戦することなどなかった。
「よし、あと一息だクロイト!」
「やるわね……でも、負けないわよ!おいでヌイコグマ!」
チャンピオンの四葉によるルールの整備と、引率トレーナーによる涼香の旅のサポートは、あの千屠という少年との邂逅以外とても安全だったし、楽しかった。だから、心のどこかで拍子抜けしながらも、順調にジムリーダーに勝ち、次の町へ。それを繰り返していけば、トレーナーとしての社会勉強は終わる。それが終われば、自分は長男として家の仕事を継ぐ。でも旅の中で出会った人達、特に明季葉や涼香との関係はずっと続いていくものだろうと漫然と思っていた。
だが、想いが巡り、人と巡り、世界を巡る中で変わらずに在るものなど一つも無い。
それを突き付けるように起こった出来事が、状況が。三人にはすぐに理解できなかった。
約二メートルの獣が。自分たちと対面するジムリーダーの背後から。真っ黒な刃でその喉と心臓を貫き、一瞬で絶命させたのを。数瞬前までポケモンバトルをしていたニンゲンが血が噴き出し痙攣しながらくずおれるのを見ても、巡は蜘蛛の巣にかかってもがく蝶を見るように、死を感じながらも自分のするべき反応がわからなかった。
「う、うわああああああああああああっ!!?」
「ひっ……!!」
奏海と明季葉が悲鳴を上げるのを見て、巡はようやく思考が動き始める。そうだ、目の前で、いきなり、ポケモンが人を襲って殺したのだ。そして巡が反応するより早く、ここに来るまでに自分たちが潜り抜けた試練を血で染めて。何人もいたジムトレーナーを全て屍に変えて。白い髪に白いシャツの少年は。返り血一つ浴びず現れる。
「相変わらず大げさだなあ……さっきの今まで自分たちだってポケモンをたくさん瀕死にしたくせに、今更慌てふためかないでよ」
以前巡達と三対一の勝負を仕掛けてきた千屠が。惨状に似合わない笑顔をこちらに向けた。そのだがその瞳は命を刈り取る死神の鎌のように弧を描いている。ジムリーダーが事切れたことを確認したオオタチが、千屠の傍まで戻る。思わず巡は叫んだ。
「千屠、お前……ジムリーダーに何したんだよ!!」
「いやー、殺したに決まってるでしょ? 見てわかんない?」
胸のあたりからピンクと白を基調とした可愛らしい服を着ていたジムリーダーは真っ赤な血で染まり、驚きの
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