巡狩執行
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表情のまま死んでいた。見ただけで、もう命がないことがわかる。千屠のオオタチが与えた傷は致命傷ですらない。即死だ。
「殺したって……なんでだよ!なんでこの人が死ななきゃいけないんだよ!答えてみろ!」
「一々何したなんでって子供かよ。生き物が殺されて死ぬのに特別な理由なんているわけないじゃん?」
「わけわかんないことを言うなよ!なんでここに――」
取り乱す巡の様子に面倒くさそうに頭を掻いて、ため息をついて千屠は言う。
「うるっさいなあ。お前も今からこうなるんだよ」
「は……!?」
まるでゴミでも放り投げるようなどうでもよさそうな態度で言われたことに、頭を殴られたような衝撃が走る。この前会ったときは一瞬だけ刀を抜きだす居合斬りのような、こちらの攻撃に反応するような鋭い殺意だった。
だが、今の千屠は抜き身の刀をぎらつかせ、見せつけるように。明るい少年の仮面など脱ぎ捨てたような人斬りの顔だった。
「ああ、人の死に特別な事情が欲しいなら安心してよ。お前が死ぬのはちゃんとした理由があるからさ。というか、別に付属品のお前らに長々構ってらんないから黙ってるならさっさとやるよ?」
呆然とする三人に対し、あからさまに雑で誠意のない調子で付け加える。それでも千屠が何を言っているのかわからなかった。いや、わかっていてもそれが受け止められなかった。
「待ってください!それはおかしいです!」
「奏海……?」
二メートルのオオタチを従え殺気を放つ千屠に固まっていると、海奏が切羽詰まった声で叫ぶ。
「あなたは四葉様の関係者なのでしょう!?巡兄様を深く傷つけることは許されているはずがありません!」
「そういう約束だったし俺もそのつもりだったけどさー。まあ、状況が変わったんだよ」
「なっ……じゃあ、僕との約束はどうなるんですか!? 話が違うじゃないですか!!」
「はいはいゴメンゴメン。でもぶっちゃけ俺の知ったことじゃないし……ていうか、いいの?『兄様』がばっちり聞いてるけど。ダチにもはっきり聞こえたよなー」
「オオンッ」
奏海がハッとし、巡を見る。その顔は青ざめ、今言った言葉を否定しようとするかのように手で口をふさいだ。だが当然今の言葉は巡にも聞こえている。
「奏海? お前まで、何言って……」
「千屠と四葉が関係者って……知ってたの?」
「ほら、二人ともびっくりしてるよ。説明してあげたほうがいいんじゃない?」
「ぬけぬけと……四葉様に何を言われたのですか!」
青ざめたまま、怒りを露わにする奏海。だがそれは千屠にとってはキャタピーの威嚇行動ほどの脅威もない。
「うーん、口で説明するくらいなら牙を剥いた方が早いかなあ。なあ、ダチー」
「……」
オオタチが、千屠を守るようにと
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