虚ろな懺悔
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耳だったが、海奏と明季葉が頷くのであれば事実なのだろう。
「まあということらしいんだけどさ。でも暮らしてるうちにだんだんみんな俺のこと怖がらなくなったんだ!そしたら周りと話すのも楽しくなったし……だからさ、涼姉だって昔は悪いことしちゃったとしても、これからまたやり直せるって俺は信じてるぜ。涼姉不愛想っぽくしてても優しいし!な、二人もそう思うだろ!?」
「優しいって……」
過去一年間はおろか、旅をしている間でさえほとんど言われたことのない言葉だった。弟の病気を治すために必死だったあの時は、ひたすら自分が強くなることを考えていたからだろう。自分を優しいと評する相手なんて、今まで――弟と、四葉くらいのものだった。
「明季葉も……涼香は、いい人だと思う。ポケモンリーグの理念とか、裏切りってよくわからないからかもしれないけど……明季葉にとっては、出会ってからの涼香が全て。だから、気にしない。だから、心配する」
「勘違いよ。じゃあ……いいのね? こんなのと一緒に旅をして」
「涼姉はこんなのじゃないし!」
「今からいなくなってしまっても困りますし、その方がありがたいです」
「……よろしく、お願いします」
拍子抜けするほどあっさり、三人は自分と旅をすることを受け入れたらしい。涼香にとっては好都合だが、何か引っかかるもの、誘導されたような印象を感じる。とはいえ、余計な思考を巡らせる心の余裕もなかった。
「じゃあ早速だけど……巡、海奏は部屋に戻って」
「え、この流れで? 深まった絆を感じてお喋りとかしない?」
「手当はしたけど、涼香はすっごく疲れてる……奏海はともかく、巡はうるさいから、ジャマ」
「明季葉ちゃんひどくない?」
「いいじゃないですか、僕達も疲れましたし……」
「よくないし俺は明季葉ちゃんは涼姉と話してる方が元気になるんだけどなー。でも、まあしょうがないか。早く元気になってね涼姉!」
巡は涼香をちらりと見る。ベッドで体を起こすのもやっとで俯いた涼香を見てさすがに察したのか、自分からさっさと部屋を出た。奏海も一礼した後静かに出ていく。
「……ありがとね」
「いい。明季葉はあのヒトモシに燃やされた時にどうなるか知ってるから……今は、休んで」
体力的にも精神的にも限界な涼香は言葉に甘えてゆっくり体を寝かせる。三人の言葉だけを考えていれば、眠りにつくことは出来そうだった。
「ただ……少し元気になったら、明季葉から話したいことがある。明季葉が……旅をしてる、本当の理由。涼香に話しておきたい」
「……わかったわ」
平素と変わらぬ明季葉の声。涼香は社会勉強の一環として旅をすると聞かされたがかつての自分がチャンピオンを本気で目指したようにこの少女にも何かあるらしい。それを聞いてあげるのも
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