虚ろな懺悔
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えないし何も知らないこの子たちさえ疎まれてしまうほどの罪を犯した自分に真実を求める権利などないと諦められるかもしれない。ヒトモシの炎が心を燃やしていたことでかえって話す決心がついたのは皮肉だった。
「私は……絶対にチャンピオンになりたかったの。でもそのためにポケモントレーナーとして、絶対にやってはいけないことをしてしまった」
先の玄輝との戦いで突き付けられたことを心に刻むように話す。ポケモンリーグの決勝戦、親友だった四葉との戦いにおいて自分は相手の選んだポケモンを覗き見て失格となった。それは自分を応援してくれた仲間へ、そして強くなるために倒してきた相手への裏切りと同じ。その不正を四葉が仕組んだと言うことは、敢えて話さなかった。今話しては責任転嫁と思われるだろうからだ。何より、結局不正に手を染めたのは自分だ。
「あいつらとも、バトルに勝った時は色々言われたけど私の実力を認めた上でバイクを渡してくれたわ。……その気持ちを踏みにじったのも、あいつらが私に負けたことで散々馬鹿にされた、って言ってたのも……私のせい」
悲しくなったわけではない。被害者面はしないと決めたのだ。冷淡に、涼しい顔を装って言う。
「私のせいで……色んな人が不幸になったし、死んだ子もいる。だから私は……心配される資格なんてない」
それから先を言ってしまえば、自分が一番失いたくなかったものを思い出してしまうから、そこで言葉を止めた。部屋の中に、重い沈黙が降りる。十秒、三十秒、一分。
「あの……それでも涼香さんは、引率者として僕達をサポートしてくださるんですよね」
一番最初に口を開いたのは、海奏だった。おどおどと、少し震えた声でだが、そう確認する。
「……ええ。私にも、やらなきゃいけないことがあるから」
最低限の答えに対し、奏海は巡と明季葉の顔色を窺っているようだった。続けて発言する。
「不正はダメだと思いますけど、涼香さんの経験と強さはすごく助けられてますし……その……」
「……ったり前だぜ。なんだなんだよ奏海、もしかして涼姉を置いて旅しようとか一瞬でも考えたのか?」
「え……?」
深呼吸した巡が、ぐっと胸の前で握りこぶしを作って真剣な、でも重苦しさのない明るい声で言う。
「涼姉。俺さ、一年前初めて目を覚ました時……なんか周りが腫れ物に触るみたいに扱われてすっげーこわかった。なんも覚えてないけど、昔の俺って結構やんちゃだったみたいでさ。露骨に怖がる人もいたんだ。奏海は違ったけど」
「そうでしたね……」
「明季葉も……巡は、もっと乱暴で怖い人だって噂で聞いてた」
涼香が見た限りの巡はお調子者で軽いところはあるが、素直だし、人にもポケモンにも無暗に暴力を振るうところなど見たことがない。初
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ