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ある晴れた日に
480部分:歌に生き愛に生きその二
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歌に生き愛に生きその二

「だからね」
「けれど俺は」
「見てしまったからよ」
 だからなのだった。彼の場合は。
「見てしまったから。今の未晴を」
「だからですか」
「それに。未晴と付き合っていてくれているから」
 彼氏というのはわかっているのだった。もう既に。
「だからね。こうしてね」
「見舞いに行ってもいいんですか」
「御願いするわ」
 沈んでいるが確かな声だった。その声で告げたのであった。
「是非ね。そうして欲しいの」
「じゃああいつの横でこのギターで」
「そのギターのことも聞いていたわ」
 晴美は何とか目を確かなものにさせようとしていた。その必死に光、即ち希望を失うまいとしている目で彼のギターを見たのであった。
「それでいつも音楽奏でているのよね」
「ええ、そうです」
「未晴はそのことも言っていたから」
 こう話すのだった。
「とてもいい音楽だって」
「あいつそんなことも言っていたんですか」
「そうよ。だからこれもよかったらだけれど」
 また前置きするのだった。ここで。
「未晴にその曲。聞かせてあげてね」
「俺の曲でいいんですね」
「貴方の曲がいいって言っていたから」
 だからだとまで話すのであった。
「御願いするわ」
「わかりました」
 暫し考えてからの今の言葉であった。
「それじゃあ。あいつの横で」
「病院にはお話しておくから」
 そちらへの手配もするというのであった。
「安心して。病院に通ってね」
「ええ。じゃあ毎日にでも」
「きっと。未晴は聴いているから」
 顔は俯いたままである。しかしそれでも言葉を出すのだった。
「御願いね。本当に」
「はい」 
 頷いて応える正道だった。
「今日にでも」
「そうね。実は私もね」 
 今にでも行くという正道のその言葉に彼女も動くのだった。
「今から行くつもりだったのよ」
「そうだったんですか」
「車。あるから」
 正道に対してかけた言葉であった。
「一緒にどうかしら」
「いいんですか、それで」
「いいのよ」
 無理をして微笑んでいる、そうした言葉であった。その言葉で今正道に対して告げたのである。それはそのまま彼女の心も映し出していた。
「それでね。じゃあ行きましょう」
「すいません」
「謝る必要はないわ」
 また無理をしたような微笑みであった。
「だって未晴のところに行くのよね」
「そうです」
「同じ場所だから。いいのよ」
 だからだというのであった。
「行きましょう。今からね」
「わかりました。それじゃあ」
 こうして二人で車に乗り市立病院に向かった。車は晴美が運転した。その車で病院に入りそこからあの隔離病棟に入る。その暗い廊下を進み未晴の部屋まで来る。未晴は相変わらずベッド
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