第百十話 都に移りその三
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どちらも順調でだ、英雄は言った。
「このままだと予定通りにな」
「近江に兵を進められるでありますな」
「そうだ、では十四万の軍勢を率いてな」
峰夫のその問いに対して答えた。
「まずは都に入る」
「そこにでありますか」
「都に兵を進め兵糧や武具もだ」
そういったものもというのだ。
「集めさせる」
「都の商人達に言って」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「さらにだ」
「兵もですね」
「集結させる」
その大軍をとだ、英雄は強い声で話した。
「そしてだ」
「そのうえで」
「兵を近江に進めるが」
「何かあるでありますか」
「比叡山が気になるな」
この寺についても言うのだった。
「あそこが」
「あの山ですか」
「今のところ動きを見せていないが」
「こちらに来るかどうか」
「比叡山は一つの勢力だ」
その寺自体がというのだ。
「荘園も多く僧兵もだ」
「結構な数ですね」
「それだけにな」
「敵に回られると厄介ですか」
「戦えば勝てるが」
しかしというのだ。
「山に籠られると危険だ」
「あの山自体が城ですね」
「山城だ」
そうした城だというのだ。
「だからだ」
「あの寺をどうするか」
「そうだ、敵に回られると厄介だしな」
「どうするかはですね」
「人を送るか」
使者をというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「降ればいいが」
「敵になればですね」
「その時はどうするかだが」
「戦いますか」
「そうすることも考えておこう」
比叡山に対してもというのだ。
「是非な」
「それでは」
「敵に回るならな」
「戦うしかないですか」
今度は謙二が僧侶として問うてきた。
「その時は」
「相手が寺社でもだ」
宗教勢力でもというのだ。
「戦うならな」
「戦うしかないですね」
「この浮島の統一の為にはな」
「相手がそうした時仏罰や神罰を言っても」
「俺は神仏は否定しない」
きっぱりとした声でだ、英雄は謙二に答えた。
「敬っている自覚はある、だが」
「それでもですね」
「やはり宗教は武力を持つべきではない」
「純粋に人を救うべきですね」
「その信仰と学問でな」
それで政として檀家制度を整え寺社から荘園ではなくそちらからの利で暮らせる様にして僧兵達も普通の僧侶達にさせてもいるのだ、ただし還俗する僧兵達は純粋に自分達の軍勢に入れることもしている。
「そうあるべきだしな」
「戦いを選ぶなら」
「神罰、仏罰が下るならだ」
彼等と戦いそうなるならというのだ。
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