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レーヴァティン
第百十話 都に移りその一

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               第百十話  都に移り
 英雄はこの時大坂城で報を聞いていた、その報はというと。
「そうか、丹後も但馬もか」
「はい、完全にです」
 報をする旗本が英雄に述べた。
「我等の勢力となりました」
「そうか、あの二国もだな」
「そしてです」
 今度は別の旗本が言ってきた。
「淡路もです」
「あの島にだな」
「対岸となる讃岐と阿波も」
 この二国もというのだ。
「我等に降ろうという国人が増えています」
「そうか、ではな」
「二国の国人達もですか」
「受け入れてだ」
 そうしてと言うのだった。
「それからだ」
「どうされますか」
「少し先にするつもりだったが」
 それでもこれを機と見てだった、英雄は断を下した。
「その讃岐と阿波もだ」
「手中に収められますか」
「そして瀬戸内の東側をだ」
「完全にですか」
「勢力圏に入れる」
 湖のこの部分をというのだ。
「そうする」
「そうされますか」
「そしてだ」 
 英雄はさらに言った。
「それが済んでからだ」
「近江じゃのう」 
 主の座に座る英雄の下に控えている当季が笑って言ってきた、十二人のうち大坂に残っている者達が揃っている。
「あの国になるな」
「そうだ、どちらにしろ攻めるなら先だしな」
「それでその間にじゃな」
「そうだ、讃岐と阿波にだ」
 この二国にとだ、英雄は当季にもこう話した。
「それぞれの国人に対して使者を送ってだ」
「そしてじゃな」
「そのうえでだ」
「国人達を降していってのう」
「俺達の勢力に組み込み」
「従わんモンについては」
「兵を送り」
「破って降すのう」
「そうする、だが四国はな」
 讃岐と阿波、二国があるこの島はというと。
「まだだ勢力には収めんのじゃな」
「それはまだ先だ」
「土佐と伊予はじゃな」
「まだ先だ、二国だけにしておく」
「それよりもじゃな」
「近江だ」
 この国を優先させるというのだ。
「土佐や伊予まで手を拡げると時間がかかる」
「だからじゃな」
「それよりも主な敵を叩く」
 土佐や伊予を手に入れるよりもというのだ。
「それからでいい」
「そうですね、拙僧としましては」
 謙二も言ってきた。
「出来ればです」
「すぐにだな」
「近江に兵を向けたいですが」
「まだ時はあるな」
「はい、讃岐と阿波を手に入れても」
 そちらに手を拡げてもというのだ。
「まだだ」
「はい、時がありますし」
「ならだな」
「今から二国に手を拡げると共に」
「そしてだな」
「近江についてもです」
 主な敵である彼等にもというのだ。
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