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戦国異伝供書
第四十五話 影武者その十一
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じゃが近江に至るとな」
 この国はというと。
「琵琶湖という湖があるな」
「本朝で最も大きな湖が」
「あれがあるからな」
 それでというのだ。
「海ではないがな」
「海に等しいですな」
「あの国に行けばまた違うか、しかし塩を手に入れるには」
「どうしてもですな」
「海が欲しい」
「左様ですな」
「そのことを思う」
 どうしてもとだ、晴信は海のことも思うのだった。海のない国にいるからこそ強く思うことであった。


第四十五話   完


                  2019・4・8
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