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老人とレース
第三章

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 スタート地点で老人と再会した、すると老人は準備体操をしつつそのうえで二人に対してこう言った。
「では今日はな」
「はい、レースをですね」
「優勝を目指してやな」
「頑張ろうぞ、わしはまだまだ若い」
 八十四歳でもこう言うのだった。
「だからな」
「それで、ですね」
「優勝もやな」
「必ず出来る、そしてな」
「そして?」
「何かあるんか?」
「賞金でな」
 それでとだ、老人は言うのだった。
「少しな」
「少しですか」
「そうだ、使わせてもらう」 
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 スタートを知らせる号砲が鳴るとだった、早速。
 三人は走りはじめた、走ると共にマリアが次から次に戦闘や罠に対する術を使って三人を守った。そのうえで。
 移動を速くする術も使ってだ、他の冒険者達よりも速く進みだした。だが。
 他の冒険者達も速い、中には三人を追い抜く者もいたが。
 それでもだ、老人は落ち着いて言った。
「安心するのじゃ」
「抜かれてもですか」
「必ず追い付けてじゃ」
 そしてというのだ。
「追い抜ける」
「そうですか」
「わしがおってじゃ」
 そしてというのだ。
「お前さん達がおるからな」
「だからですか」
「そうじゃ」
 それでというのだ。
「何も心配することはない」
「このままですね」
「わし等のペースで行こう」
「それでは」
「焦ってはならん、わし等の実力なら」
 前にモンスター達が出て来た、老人はそちらに手裏剣を素早く投げてモンスターを一体倒した。そうして。
 マリアとニキータも術でモンスター達を倒す、走りながら駆け抜ける様に戦闘を行い倒してしまった。
 その後でだ、老人はまた言った。
「この通りじゃ」
「心配無用」
「そうだというのですね」
「うむ」
 その通りという返事だった。
「では進んでいこうぞ」
「あの、ポンスさん」
 マリアは走り続ける老人に問うた。
「ずっと走り続けておられますが」
「どうかしたか」
「体力の方は」
「気にすることはないわ」
 こう言うのだった。
「全くな」
「そうなのですね」
「そうじゃ、わしは百歳までな」
 この年齢までというのだ。
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