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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
5.104訓練分隊T
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で他の分隊員とはスペックの違う巧をどうにか馴染ませるために食事中でも積極的に話を振ったり、考えを聞いたりしたし、寝る前などはしつこく恋愛経験などを聞き出し、夕呼に振られた話などで大いに盛り上げた。巧はそのことでトラウマが再発し、それを発散するために格闘訓練で隊員たちを扱き倒したが…(その時は教官すら引いていた。)。

そして半年後、104分隊は二度目の総合戦技演習に挑戦していた。

総戦技演習は基本的に隊員たちが正規兵として通用するだけの最低限の力があるかどうか、信頼関係を築いて連携をとれるかどうかを判断するための試験である。104分隊の場合は田上が良くまとめているだけあってチームワークは良かったが、軍人としての力量が未熟だった。そもそも104分隊には志願した訓練兵はおらず、最初の適性検査で衛士適正ありと判断されたからいるという受け身な態度の者たちが大半で、不真面目というわけではないが、どこか向上心に欠けるメンバーだった。そのため隊員の力量が上がりづらかったのだ。
しかし巧が編入したことで風向きが変わった。いかに受け身な態度とは言え、自分たちよりもずっと若い巧が自分たちを遙かに凌駕する力を持っていたのを見て対抗心が湧かないわけがない。先輩としての意地が隊員の向上心に火をつけたのである。それによって分隊の総合力は前回よりもかなり高くなっていた。

今回総戦技演習の内容は模擬的なゲリラ戦であった。仮想敵として帝国陸軍歩大隊の隊員を置き、山林の中でペイント弾を使った模擬戦を行うのだ。本職の陸軍歩兵と訓練兵では錬度に差があり過ぎるのでハンディキャップとして陸軍歩兵の武装は基本的に模擬刀のみ。何人かにはライフルを持たせてある。
一方訓練兵組は完全装備である。小銃に手榴弾、ライフル、ナイフ、模擬刀などから作戦開始前に装備を選び弾薬も携行し、連携するための通信機も持っていくことができる。
こうして装備の差を見ると、如何に錬度の差があっても訓練兵の方が有利になると思えるが、人数差があるのだ。分隊が10人に対して相手は500人である。勝利条件は敵の殲滅か、演習終了まで一人でも生き残ること。
この形式は今回の演習で初めて導入されたもので、対BETA戦を想定していた。圧倒的な数で襲ってくる歩兵を要撃級に見立て、ライフルを持っている兵士は光線級を想定している。本来のBETA戦では一人当たり50匹というのはそう多くないのだが、今回の相手は帝国陸軍の歩兵であり、戦術機とBETAの間にあるような機動力の差はない。そして相手はBETAと違って戦略を練って戦ってくる。通常の総戦技演習よりもかなり難易度が高い内容である。これは総戦技演習が巧一人の力で乗り越えてしまうことを防ぐための措置である。今までの内容だと、難しい場面で巧に頼り切りになってしまう可能性があったのだ。


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