『ルイズが召喚したのが、ヤドンだったら?』
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その生き物は、とっても…鈍感でとろくさかった。
ヤ〜ンだの、ぷみ…だの、独特な間の抜けた鳴き声を出すが、顔は声と同じぐらい間抜け、身体の色はピンク。四本足で、太めの尻尾があること。それだけだ。
猫の囲炉裏座りのように、藁の上に座り込んでおり、時折尻尾をゆっくりと振るぐらいで、あまり動かない。うっかりルイズが尻尾を踏んでも、まったく動じない。
もしかして、ハズレを引いた?っとルイズは嫌な顔をした。
しかし召喚したものは仕方ない。進級試験を突破するので必死で、後先のことはまったく考えてなかったルイズであった。
だが、不思議な奴ではあった。
例えば、授業の遅れそうなった時、あまりに足が遅いのでそのまま置いて走ったことがあるが、教室に行くと、なぜか先回りしていたり、躾のために餌を高い位置に置いておいたのに、ちょっと目を離すと、床に餌置きがあり、ムシャムシャと食べてたりした。
食い意地だけは無駄にあるらしく、餌が足りないと、足りない…っと言わんばかりにジッと見つめてくる。そのせいか、大きさの割に重い。(36キロ)
ある日、ヤドンだぁ!っと驚きつつも喜んだ顔をしたメイドがいた。
知っているのかと聞くと、シエスタというメイドは、ド直球に……、尻尾が美味しいんですよ!!っと言ったのだった。
えっ? 食用? っというルイズの疑問に、食べれるのは尻尾だけですよっとシエスタは慌てて言った。
聞くところによると、この生き物の名は、ヤドン。彼女の故郷の水辺でのんびりしている姿が見られる珍しい生き物で、タルブ近隣にしか住んでいないらしいが、その尻尾は千切れやすく、けれど、煮込めば良い出汁が出て身の味も良く珍味として味わられるらしい。
なお、千切れやすい尻尾は、トカゲの尻尾のようにすぐに生えるそうだ。
ヤドンの尻尾の味を思い出したのか、シエスタは、タ〜ラタラと涎を垂らした。
そ、そんなに欲しいなら…、あげなくはないわよ?っと恐る恐る言うと、本当ですか!?っと詰め寄られた。
そしてシエスタは、許可が下りるなり、ヤドンの尻尾を掴んでちょいと引っ張り、根元から千切った。
出血は無く、尻尾を奪われたというのにヤドンはボ〜っとしていた。
痛くないの?っとルイズが聞いても、ヤドンは、ブミっ?と間抜け顔で返事をしただけだった。シエスタが、ヤドンは尻尾を千切られても痛くないらしいですよ!っと、先ほど千切った尻尾を抱きしめるように抱えて説明してくれた。
ぜひ、ご馳走しますよ!っと、シエスタがキラキラした目で、ヤドンの尻尾を持って言うので、ルイズの中で葛藤が生まれた。興味本位から味が気になるのと、食べたらいけない気がすると
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