怨嗟に燃える怪物
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混じった炎。
「な、なんだこれは……メガシンカ……いやZパワーなのか!?」
玄輝が驚きを露わにする。ヘルガーのメガシンカ形態とは明らかに違うし、一度金色に近い光を纏うZパワーとも目の前の現象は違い過ぎた。トレーナーとポケモンとの絆が生み出すものとは違う。お互いに憎悪するものがあるからこそ生まれる負の力。
「『悪の波動』!!」
紫焔はうねりを上げ、まるで炎そのものが憎悪をぶつけるように上下に分かれて大口で噛み砕くように両腕をクロスさせてルガルガンを焼き尽くし、三者三様の負の感情がルガルガンの体を蝕みつくす。
炎が消えた時、そこにあったのは紅い体を黒焦げにされ、横たわるルガルガンの姿だった。
「俺のルガルガンが……一撃だと……」
「……二体目でも三体目でも好きに出せばいいわ。全員焼き殺してでも倒して……」
ぐらり、と涼香の体がふらついた。ヒトモシが心を燃やすというのはすなわち気力と体力を奪うこと。ブランクのある旅を続け、挙句雨の中歩いていた涼香の体は限界を超えている。
「ふん、確かに驚かされたが恐らくその黒い炎を使う旅にお前を燃やす必要があるらしいな。だが俺の六体を前にお前の体がもつと思っているのか?」
「構わないわ。私が気絶しようがしまいが、私を燃やすのはヒトモシだもの。……私達は絆でつながってるわけじゃないんだから」
「もしぃ……」
悲しそうなヒトモシの目。だが拒否しているわけではないのは今もなお大きく揺らめく炎が伝えてくる。涼香とヒトモシの感情を具現するように三つ首のようになったヘルガーも口から紫焔をちらつかせる。
「リーダー、あんな状態でまともに指示が出せるわけねえ!勝てますぜリーダーなら!」
「いざとなればあのポケモンもいるじゃないすか!」
暴走族の下っ端たちが戦意をみせる。数秒の沈黙の後、玄輝はバイクにまたがった。
「……ああその通りだな。だがそれでいいのか? ポケモン一匹倒しただけでふらふらになってる相手をむきになって倒したのではそれこそ俺達をよってたかって潰そうとしたごろつきとシンクロだろうな」
「リ、リーダー……!」
「俺たちは最強の暴走族からさらに進化を遂げた四天王が一柱とキヤリーグの盾となるの警邏隊……そうだろ?」
「さすがっす……!」
勝手に盛り上がる暴走族たち。膝が震え、立つのもやっとの涼香を睨みかつて一介の暴走族だった彼は堂々と背を向けて言う。
「今のお前の力を示したことは認めてやるから教えてやるが……俺達がここに来たのはお前とやり合う為だけじゃない。あの研究所に強盗が入ったからだ。最新のセキュリティで守られたあそこからの強奪など常識では考えられん。そして、現在確認されているのは人一人と二匹のポケモンがいなくなっているというこ
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