怨嗟に燃える怪物
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。それにふさわしい理由が――」
「どうでもいい!『火炎放射』!」
「ふん、『守る』だ!」
直線的な炎を、ルガルガンは両手をクロスして守りの体勢に入る。炎のダメージはやはりない。
「お前の不正が発覚した後、俺達は他のチームやごろつきどもに狙われる日々を過ごした……普通なら『イトマルの子を散らすように』逃げるのが当然だろうが──」
「聞いてない。『スモッグ』!」
口から毒息を吹き付けてルガルガンを退かせる。一気に飛びのいたが肌の硬さに反した柔軟な動きで着地し、ダメージらしいものは与えられていない。だが玄輝の表情が渋くなる。
「人の話を聞く気はないのか?」
「……興味ないから」
胸が痛まないと言えば嘘になる。自分の過ちが傷つけたのは家族だけではない。目の前の暴走族以外にも自分のせいで苦しんだ人はいるはずだ。それでも今は立ち止まらないために、余計なことに構っていられない。
「ちっ、随分と腑抜けたな。俺たちに興味がないというのなら容易く蹂躙するくらいしてみせろ。単調な攻撃しか出来ないお前たちはまるで『はりきるだけのデリバード』だ」
「……あんたこそ、躱せばいい攻撃でも受け止める癖は変わってないのね」
「必要ないな。お前の炎など俺のルガルガンにはドライヤー程度なんだよ」
「それはどうかしら?」
「何?」
炎を受けきったはずのルガルガンが、膝をつく。理由は毒だ。ヘルガーの炎には毒素が混じっている。それを『スモッグ』が活性化させルガルガンの内部に浸透し、猛毒とまではいかないものの確実に体を蝕み始める。
「火傷ではなく毒を使うとはな。だがどのみち手は打ってあるんだよ。ラムの実を食えルガルガン!」
「ラムの実……!?」
ルガルガンが隠し持っていた木の実を齧る。木の実はポケモンに持たせておくとトレーナーが渡さなくてもある程度自発的に使うことができるというのは常識だが、ラムの実というのはそこらで売っているものではない。状態異常をすべて治すという強力な効果を持つだけあって、栽培にも手間がかかりこの地方では一般流通していないのだ。
「そのお高い道具が四天王になったあんたの自信ってわけ?暴走族も今じゃ立派な飼い犬みたいね」
「……ふん、そんなわけがない。待ってたんだよ、この瞬間をな!!ルガルガン、『ロッククライム』!」
「『火炎放射』よ!」
ルガルガンの突進に対しヘルガーが炎を放つ。だがルガルガンは先ほど使った『ストーンエッジ』の岩に身を隠してやり過ごす。岩という障害物に阻まれているのを逆に利用して近づき、炎を吐き終わったヘルガーの真下へもぐりこむ。
「これがお前に負けた後無限の修羅場を潜り抜け圧倒的進化を遂げた俺達の一撃……『起死回生』だ!」
「ルガアアアン!!」
ルガルガ
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