第7章:神界大戦
第209話「真の脅威」
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「邪魔!どいて!」
緋雪が爪を振るい、目の前の“天使”を薙ぎ払う。
この“天使”達が陽動の可能性があると分かってからは、行動方針を変えていた。
本来なら足止めな所を、キリのいい所で切り上げ、優輝達と合流するつもりだ。
しかし、当然ながらそれを為す余裕はない。
「ッ……!」
「ふっ……!」
司の祈りによって魔力弾の雨が降り、その合間を奏が駆け、“天使”を切り裂く。
スピードとパワー自体は戦闘開始時よりも磨きが掛かっている。
しかし、余裕はどんどん減ってきている。
「甘いです」
「足りんな」
「ッ、くっ……!」
それは精神的なものだけでなく、実力そのものもだった。
“天使”達は、実力を隠していたのか、緋雪達の動きに普通について来る。
単純な力や、瞬間的な速さは緋雪や奏が上回るが、それ以外で対処してくる。
司の魔法も、同等とは言えないが、規模の大きい術を二発以上行使して相殺される。
三人のあらゆる攻撃が、徐々に通らなくなっていく。
「愚か。あまりに愚か。神はもちろん、我らにすら人の実力は届かぬものと思え」
「っ……甘く見ていた、って事……」
連携を取りつつ、戦場を駆け回っているからこそ、緋雪達はまだ戦えている。
現状、今いる何もない場所で正面からぶつかり合えば、三人に勝ち目はない。
「これほどの強さなら、なんで……」
「……懐に、誘い込むため……」
「え……?」
これほどの戦力があるならば、単純に正面から来てもおかしくなかったはず。
それらのにどうして、態々途中まで味方のフリをしたのか。
そんな疑問を呟いた司に、緋雪が苦々しい表情で答える。
「多分、本当に確実にお兄ちゃんを仕留めたいんだと思う。だから、こうやって態々懐まで誘い込んで……包囲網を組んだ。ある程度の想定外があってもいいように、周到に……ね。それほどまでに、お兄ちゃんに警戒する“何か”があるんだろうね……」
「……なるほど……」
否定する要素も、その余裕もない。
“天使”達をどうにかしない限り、緋雪達も身動きが取れない。
既に一人を倒す事も難しくなってきている。
この状況から、何とか逆転する術を思いつかなければならないのだ。
「(考えてる暇はない……!)」
即座にその場から飛び退き、攻撃を躱す。
悠長にその場に留まって何かを考える時間すらなかった。
「っ、防いで……!」
四方八方から、理力によるレーザーが飛ぶ。
咄嗟に、司が避け切れない攻撃を防ごうと、障壁を張るが……
「な、ぁ……!?」
「防げると思うてか」
その障壁は、まるで障子のようにあっさり
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