純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 22
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しとするか否か、子供が親離れできるか否かの問題です。貴女方は貴女方なりに生き抜いて結論を出した。今度は、私達が私達なりの結論を出さなければならない。それだけの話ですのよ」
全世界で多くの死を招いた先の大戦。
その元凶であるアリアの実母として頭を下げたマリアに、二人はころころと軽やかな笑い声で応じる。
「親離れ、か。面白い譬えだね。そして、納得だ。その線で促していくべきかな? やっぱり」
「え」
顎に手を当てて「ふむふむ」と何度も頭を上下させるコルダ。
プリシラも、「現状ではそれが最善と考えられますわ」と頷き返す。
マリアだけが話に付いて行けず、きょとんと瞬いた。
「よし。じゃあ、アルスエルナ教会の方針はそれでいこう。君が飛ばした鳥は恐らく明日中に着くだろうから、私もアーレスト達と一緒に此方へ戻って来るよ」
「では、お帰りは半月程後になりますわね」
「いや。アーレストが全力で飛ばすと思うから、十日前後の見積りで大丈夫じゃないかな? あの子一人で走らせたらもっと速いんだけど」
「其処は暴走しないように見張っていてくださいな。また時計台やら空き家やらを薙ぎ倒されても困ってしまいますし」
「……薙ぎ倒したんですか……? 時計台や空き家を……?」
「無人の建築物だけなら、胃に優しいね」
「ソレスタ神父と合わせたらどれだけの被害・損害が出ているか……ふふ。一度、あの二人に計算させてあげようかしら。実態を把握して反省に至れば、泣いて喜ぶかも知れませんわ。主に、国王陛下が」
「財務担当の人達もね」
「こ、国家予算級、ですか」
「さすがに其処まではいきません」
「うん。今年までの総額で大体、都市一つの二年分くらい、かな?」
「……都市二年分の予算に相当する被害額って……」
どれだけ壊し続ければ、そんな途方も無い数字になるのか。
人当たりが良くしっかりした印象が強い二人からは想像もできない、とんでもない裏事情が明らかになってしまった。
「そのおかげで、職人達の仕事も尽きないのですけどね」
「え?」
「破壊には良い面も悪い面も含まれている、という話ですわ」
「……ああ、なるほど」
壊れた物の多くは、国の運営視点で重要度が高い物から順に直していくか、若しくは新しい目的で活用される。
どちらにしても手を加える必要ができたのなら、其処には物資と技術と金銭が同時に注がれる。
物資と金銭の循環で成立する雇用創出、人材育成、技術及び品質向上、顧客確保……つまりは「経済」だ。
壊されては生活に難が出る。
けれど、壊されて繋がる物もある。
二人の破壊活動は、「迷惑」の一言で安易に片付けられるものではないらしい。
「両陛下の御心痛は確実に悪化し
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