暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 22
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?」
 「はい。最終的には「アーレストだから」で納得したみたいです」
 「それはそれでどうなのかしら」
 「人間の枠で考えれば非常識なのでしょうが、そう納得するしかなかったんだと思います。私も、レゾネクトの中身がクロスツェルだったなんて、アーレストさんに言われるまで全然気付きませんでしたから。コルダさんも気付いてませんでしたよね?」
 「私の場合は、レゾネクトさんと直接言葉を交わした経験が無かったからね。実際目の前に居た彼はマリアさんの記憶に在った彼とは全然違うし、最初からレゾネクトさん本人の言動に対して違和感を抱く余地が無いというのもあった。でも、ある程度レゾネクトさんの人柄を知った後だとしても、おや? と思うのが精一杯だったんじゃないかなぁ。人間は五感と経験で識別する生き物だし、まさか現地に居る筈がない人間が目の前で別人の体の中に居るとは、想像もできないよ」


 先日、アーレスト達の教会で炊き出しを終えた後。
 偶然にも中央教会へ帰る途中のコルダ大司教が立ち寄り、マリア達と鉢合わせた。
 それが、遮蔽物が多い屋内での話ならまだ空間を跳んで隠れる余地もあったのだが、折悪しくリースリンデが単体で裏庭に出て植物と戯れていた時にうっかり目が合ってしまった為……そして、リースリンデに隠れるよう告げに来たアーレストともバッチリ受け答えしてしまった為に、最早言い逃れは不可能だった。
 上司であり師でもあるコルダの求めに不承不承応じたアーレストは、マリアに記憶を開示してもらってから現状を説明。
 コルダは少々混乱気味だったものの、其処は年の功。直ぐに冷静さを取り戻し、とりあえず一緒にご飯でも食べようかという流れになった。
 ロザリアを通じて一度中央教会に戻ったレゾネクトが再び厨房へ跳び、無言で調理を始めようとして……音の違いに気付いたアーレストの突撃を喰らった。
 後はもう、事情が呑み込めてない者達の前でひたすら続く、アーレストとレゾネクト(中身はクロスツェル)の、「どうしてクーちゃんが悪魔の中に居る。クーちゃんに何をしやがった」「何故私だと判ったんですか」の、不毛な応酬だ。双方落とし所が見当たらない、怒りと困惑と焦燥の大混乱。
 (レゾネクト)の使い方に慣れる前に始まったそれのおかげで、クロスツェルの本体までもが連動するようにジタバタし始めた為、心配したロザリアが直接アーレストの教会へ飛び込んで二人の仲裁に入る羽目になり。
 結局本体同士の対面にはならなかったものの、アーレストとクロスツェルは気まずい思いで少ない言葉を交わし、別れた。
 遠回しな気遣いの結果は散々なものだが、クロスツェルが作った百合根の料理を関係者に振る舞うという目的は達成されたので、ほぼ全員「なんだかんだ言っててもしょうがないよね……」と、微笑ましく生温い感じにな
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