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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 22
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たじゃないか」
 「ええ……ただ、ご生母の前でこう言うのもなんですけど、ロザリア様は大層なツンデレであられるようですので、きゃっきゃうふふに持ち込むまでは相当な時間を要すると見込んでおりますわ」
 「そうね。つんでれ? の意味はよく解らないけど、あの子、根は正直者なのに何処か(ひね)くれているような気がするの。クロスツェルに甘えるとかベタベタするなんて、一生できないんじゃないかしら?」
 「それはクロスツェル的に切ないな。好いた女性に頼られ甘えられるというのは、男としての尊厳にも繋がるんだよ。まぁ、難しい理屈は抜きで単純に嬉しいものなんだけど……なかなかにもどかしいね」
 「もどかしいですね」
 「もどかしいですわね」
 胸の前で両腕を組み、俯きながら「う〜ん」と唸る三人。
 近所に住むおばさま方の井戸端会議そのものな空気だが、残念な事に、三人に突っ込みを入れられる人材は不在だった。
 突然始まった余計なお世話会議は、のほほんと続いていく。

 「ところで、アーレストはどうしていますの? 一時は物凄い混乱状態になっていたと書いてありましたけど」
 「今は落ち着いているというか、落ち込んでいるというか……とにかく静かですね」
 「ん。あれは多分、頭の中で計算してるんだと思うよ」
 「計算、ですの? 迷っているのではなく?」
 「クロスツェルへの迷いはもう無さそうだったからね。中央教会で会ったらどうやって感情を表現しようか。どうしたら伝わるか。その段階に入ってるんだと思う。あの子はあの子で不器用だからねぇ……。どうせ最後にはいつも通りの方法に行き着くんだろうに」
 「ああ……「抱き付く」、ですね」
 「何をどう言って良いか判らない時は、とりあえず抱き付く。クロちゃんの反応を引き出したら、それに沿って言葉を選ぶ。私が実践付きで教えた事とは言え、いつまで続けるのかしらねぇ。あれ」
 「君も、協力を求めて中央教会を訪れたクロスツェルに同じ事をしていたでしょう。きっと、これからもずっと続けていくよ。あの子達はあの距離感に安心を覚えているから」
 「そう、なんですか? クロスツェルのほうはあまり好ましく思ってない様子でしたが」
 「アーレストが他人行儀(ふつう)になったら、クロスツェルは十中八九傷付くね。「どうして?」から始まって、「嫌われた……。」に着地するだろう。そして距離を置く。そんなクロスツェルを見れば、アーレストもどうしていいのか判らなくなって、気分も体調も下降の一途だ。今は状況が状況だけに、間違い無くそうなるよ」
 「「確かに」」
 本人達不在で満場一致のネガティブ認定。
 女神に愛され護られている人間も、人類最強かも知れない神父も、この三人の前では形無しである。

 「クロスツェルも、今は落ち着いているのかな
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