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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
力脈
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越した魔法と不思議の業が認められて食客としてリッツバーグ邸に身を寄せていた法眼だが、泰山府君祭という『奇跡』によってカートの命を救った働きによりリッツバーグ邸では下にも置かないあつかいで、だれが言い出したのか
魔匠
(
ハイマスター
)
とう尊称で呼ばれるようになった。
「むこうの地酒をいくつか買ってきたから、よければみんなで飲んでくれ」
「おお、ありがたい! お〜い、みんな集まれ、
魔匠
(
ハイマスター
)
からの酒の差し入れだぞ」
「……っかーッ! さすがオーガ殺し。効くぜぇ」
「無理せずにゴブリン殺しあたりにしとけよ」
「おいおい、あんなの酒のうちに入らないぜ」
料理人だけでなくリッツバーグ邸で働く使用人達が集まり、法眼の手土産を飲んでは酒精の混ざった息を吐く。
この国ではアルコール度数の高さを○○殺しと表現するのが流行っていた。
アルコール度数が一けたのものはコボルト殺し。
一〇度以上はゴブリン殺し。
ニ〇度以上はオーク殺し。
三〇度以上はケンタウロス殺し。
四〇度以上はオーガ殺し。
五〇度以上はトロール殺し。
六〇度以上はワイバーン殺し。
七〇度以上はジャイアント殺し。
八〇度以上はドラゴン殺しといったぐあいで、九〇度以上のものはドワーフ殺しという。
この世界に伝わるおとぎ話のドワーフも酒には滅法強いらしい。
「あまり強い酒を生のまま飲むと胃に穴が開くぞ。ライムやミント、トニックウォーターもあることだし、なんぞカクテルでも作ろうか」
「カクテルってなんだい?」
「カクテルですよ、カクテル」
? ? ? ? ?
みんなの頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
「いや、カクテルというのは、えーと……ベースとなる酒に他の酒やジュース。果物とかを混ぜて作るアルコール飲料のことで――」
あたりまえのことを改めて説明するのはむずかしい。思わずウィキペディアのコピペみたいな説明になってしまった。
「せっかくの酒に混ぜ物をするなんてもったいない!」
「酒を薄めるなんて邪道だぜ」
「果物やジュースを入れるなんて女子供の飲み物じゃないか」
どうも彼らはカクテルを飲む習慣、文化には馴染みがないようだ。
それなら直にお見せしようとジンにライムの搾り汁、砂糖やシロップなどの甘味を入れてギムレットもどきを作ってみせる。
法眼が作るカクテルをゲテモノ料理の調理でも見るような目つきでながめる使用人達。
冷却魔法で氷を作り、ミキシング・グラスやシェイカーはないので適当な調理器具で間に合わす。
雑なカクテルであったが、できたものをスプーンでひとくちすすって味見すると、悪くはない。
「うん、美味い。メジャー・カップがないから目分量だが、上手くできた。だまされたと思っ
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