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Blazerk Monster
鉄壁の特攻隊長
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んなことをすればチャンピオンになる資格を失う。

「正々堂々ポケモンバトルを申し込んで、私が勝ったらバイクを一台貰う。負けたらあんた達のチームに入ってあげる……そういう約束だったでしょ?」

 ポケモントレーナーの本分は自分の足で各地を回り旅をすることだ。だから飛行機や新幹線などの交通機関は一部を除き使ってはいけないルールになっている。渡される資金で買える足もせいぜい自転車だ。しかしその手間を減らしたかった涼香は、暴走族に殴り込みをかけてバイクを堂々と要求したのだ。負けたらどうするつもりだったんだと博士に散々怒られたのも、とうに過去の話。正直奏海の電話があるまで忘れかけていた。

「人の揚げ足取っていい気になってんじゃねえよ、ボケがッ!!」
「俺たちゃそういう話をしてるんじゃねえ!!」
「てめえがポケモンリーグで――」

 ドードリオのように口々に喚く男たちに奏海は怯えて涙目になっている。明季葉も露骨に不快そうな顔をした。巡が何か言おうとしたが、止めたのは暴走族たちの中で一番大きなバイクにまたがる男だった。

「その辺にしておくべきだな。『弱いイワンコほどよく吠える』の教訓を忘れるべきではないんだよ」

 赤と白のギザギザ模様を中心に彩られた、めでたさよりも、血や平和を象る国旗のような模様のバイク。それに座る青年の一言で、ガラの悪い面子の言葉がぴたりと止まる。

「す、すまねえ隊長……昔の事だからついかっとなっちまった……」
「フン……それにしても暴走族、か。涼香、お前には『オコリザルは経験に学び、ヤレユータンは歴史に学ぶ』という格言を教えてやろう」

 よくわからない文言と共に、刈り上げた黒髪と同色の瞳をした精悍な顔たちの青年が涼香を睨みつける。涼香も啖呵を切るように睨み返した。

「相変わらず意味わかんない。結局何なのよ?」
「お前も相変わらずせっかちだと言いたいところだが、やはり『百回リザードンとサイホーンの声を聴き比べるヒマがあったら一度見てみるべき』だというところか。見る影もない」
「……私もこの子達も疲れてるから冷やかしなら帰ってくれないかしら?」
「は? 燃え尽きてとっくに冷え切ったお前をわざわざ冷やかしに来るわけがない。『火炎放射に懲りて凍える風を吹く』ほど俺は馬鹿じゃない」
「涼姉、なんなのこいつ……」

 わけのわからない言葉を放つ男に巡が困惑する。キヤリーグというか世界のどこにもそんな諺はない。涼香が嘆息した後声を張り上げる。

「ああもううっとおしいわね!さっさと答えないとまたまとめて焼き払うわよ!」
「ガアアアッ!!」

 ヘルガーも痺れを切らして炎を吹き出す。容赦なくリーダー格の男に吹き付け、立ったままのシルエットが紅い炎に包まれた。巡達がいきなりの攻撃にどよめく。

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