鉄壁の特攻隊長
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せる。ヒトモシは涼香を見て炎を揺らめかせたものの、ヘルガーと共に次の草むらを焼きに行った。ヘルガーとヒトモシは涼香の忠実な僕でなければ信頼する仲間でもない。誰かの手によって理不尽に傷つけられた怨みを果たすために行動を共にしているだけだ。
涼香は無理に立ち上がろうとせず、立膝で少し体を休める。しとしとと降る雨はうっとおしく、余計体力が奪われる。
(もう少し滞在期間を伸ばして私も一旦休む……? でも、巡は早くジムリーダーに元へ行きたがっていたし……)
そう考えてはっとする。巡の気持ちなんてどうでもいいはずだ。引率者として最低限の仕事をすることで旅を続け、四葉に真実を聞き出すことが目的。それが死なせてしまった弟の為の――
(……あの子の、為?)
本当に、そうだろうか。パンドラの箱を知らず知らずのうちに開こうとする涼香を止めたのは、トレーナーカードの電話機能による着信音だった。緩慢な動作で呼び出し人を見る。奏海からだ。
「……何?」
「大変です涼香さん!町に暴走族がやってきました!」
「暴走族……」
「たくさんのバイクが町にやってきて、引率のトレーナーを呼んで来いって……!しかもバトルまで仕掛けてきてて、すぐに戻ってきていただけると助かります!」
「……わかったわ。巡に無茶しないように、明季葉はきっちり周りを警戒するように言っておいて。場所は?」
「は、はい!!ポケモンセンター近くの公園にいます、お待ちしています!」
通話を切る。舌打ちを一つした後、涼香は頭を抱えた。その暴走族とやらに心当たりがあるからだ。
「ヘルガー!!」
呼びかけると彼はゆっくりを首だけで振り向く。掛けられた言葉の覇気を察してか、生成した毒息を唾のように吐き捨てラッタを瀕死にする。ヒトモシがその魂を燃やした後、自分の元へ戻ってきた。
「……体力は十分ね。多分あんたに戦ってもらうことになるわ」
町の方向へ踵を返す涼香とヘルガー。幸いにしてポケモンセンターはそう遠くはない。濡れて目にかかりそうになる髪を払いながら、涼香は走った。重たい体で必死に体を動かしていると、余計なことを考えなくていい。
ポケモンセンター傍の公園は、ポケモンバトルが出来るように十分なスペースが取られている。涼香がそこに足を踏み入れる前に、ポケモンバトルの音や巡の声が聞こえてきた。暴走族らしき男達の出すポケモン相手に戦っているようだった。彼は巡達を取り囲むようにバイクでぐるぐると周りを走り、逃げられないようにしている。
「ミルホッグ、『頭突き』だ!」
「スワビー、『燕返し』!」
地面に降りて待ち構えるオオスバメに突撃する相手を翼で一閃。切り裂くというより叩いて弾く攻撃で相手をいなす。
「隙だらけだぜ、『
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