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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
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が――」
「じゃあ『みんな』に訊くが、おまえらそんなに魔法を覚えたいか?」
「…………」
生徒達の沈黙。そこには肯定ではなく否定の感情が込められていた。
「そんな、みんなは魔法を学びたくないのか?」
「……カート君。貴族の君にとって魔法は大切な嗜み。いや、それ
以上に大切なものなのかもしれないけど、僕達『庶民』にとってはそうじゃないんだ」
「うん、下手に魔法が使えると兵隊にされちゃうからね」
この世界において魔法とは第一に魔物を駆逐する手段であり、戦闘で使用する武器だ。
剣がひとりを殺している間に魔法は何十人も殺せる。高度な戦術で統制された一個師団を魔法使いの一個小隊はその戦術ごと魔法で焼き尽くす。
人によってはそれ以上の戦闘力を有する。魔法使いとは、人間兵器なのだ。
「僕達は魔法を学ぶために学院に通っているんじゃない。学院を卒業するために学院に通っているんだ。アールスハイド魔法学院を卒業したという経歴があれば大抵の仕事に就けるしね」
「帝国よりはマシといってもしょせん庶民は庶民。運もコネもスキルもない平民が豊かな暮らしをしたいなら魔法学院くらい出ていないと」
「でも、魔法はいらない」
「
実技
(
まほう
)
がいまいちでも筆記で良い点を取れれば一応卒業できるし、さっきも言ったように下手に魔法を使えると徴兵されちゃうから」
「…………」
彼らが学院に通っているのは学ぶためではない。学んだ証が、ただ学歴が欲しいためにここにいるのだ。
カートはあまりの価値観の相違に暗然たる思いに打たれた。
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