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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
Zクラス
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 Zクラスを除く魔法学院のクラスはS、A、B、Cの四クラス。Sクラスだけが一〇人の少人数クラスで後は三〇人づつ。一学年一〇〇人となる。入試の成績がそのままクラス分けになり、Sクラスは入試上位一〇人の特進クラス。一番下がCクラスだが、これとて狭き門である。
 毎年学年が上がるたびにクラス編成があるので入学した時はCクラスでも努力次第でSクラスで卒業可能だ。
 Zクラスも一応定員は三〇人となっているが、わけありの生徒などそうそうおらず全学年がひとつのクラスにまとまって現在二〇人。カートは二十一人目の生徒だ。
 魔法学院は校舎がふたつあり、ひとつは教室がある校舎。ひとつの学年で四つの教室。一年生は三階、二年生は二階、三年生は一階に教室がある。
 もうひとつの校舎は職員室や生徒会室、その他実験室や研究会の研究室などがある。
 研究会とは部活のようなもので、放出系の魔法を研鑽する『攻撃魔法研究会』、付与魔法を使い色んな魔道具を制作する事を目的としている『生活向上研究会』、身体強化魔法を極める『肉体言語研究会』等がある。
 Zクラスの教室はというと、それら校舎から離れた学院の敷地内に存在した。

「はじめまして、Zクラス代表を務めるフジョシア=ホモスキビッチといいます。んほぉ〜、金髪ノーブル男子キタコレ! マジ尊いすな〜」
「あ、ああ。はじめまして、カート=フォン=リッツバーグだ」

 橙色の髪を三つ編みにして瓶底のような分厚い眼鏡をかけた少女の口調は下町(コックリー)訛りとも違う、独特のもでカートを困惑させた。

「君みたいな容姿端麗、学力優秀な男の子が増えるのは大歓迎ぞよ、ふぃひひひひひひwww!」
「…………」

 相手の妙なノリに困惑しつつZクラスへと案内された。

「な、なんだこれは……!?」

 黒板も教壇もない。生徒達が座る椅子も机もない。石床の上に人数分のむしろが敷いてあるが、どうもこれが生徒達の席らしい。
 倉庫だった場所を教室として使っているZクラスの教室はそのような場所であった。

「驚いた? けれども設備はSクラス並みなのよ」
「とてもじゃないがそうは見えないが……、たとえば?」
「【温度調節(エア・コンディショニング)】完備で夏は暖房が、冬は冷房が効いているの」
「いやそれ自然てことだよね、人の手で調整されてないよね、こっちで【温度調節】してないよね」
「そしてトイレは水洗式よ!」

 そう言って指差す先には小川が流れており、その上に粗末な厠が立っていた。

「いやまあ確かに水だけど、水で洗えるんだろうけど!」
「おお、そいつが噂の編入生でごわすか!」

 巨漢の生徒が親しげに声をかけてきた。

「ごっつぁんです。おいどんの名前はドス=コーイ。大飯喰らいの粗忽者でごわす」
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