恐れていたもの
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の拳が顔面へと突き刺さる。しかしそれに二人はふらつくことはない。互いの一撃を受け止め、振り払うようにもう片方の手を振るう。
「ペッ」
ティオスの口から出た唾は赤くなっている。対する天海も口から鮮血が零れていた。
「最高だ・・・お前と命を削るこの戦いが・・・俺にとっての最高の幸福だ」
命の危険にさらされているはずなのに・・・天海はそれを微塵も感じさせない。それどころか、命が削られていき、死に近付いていくのを楽しんでいるかのようだ。
(相変わらず狂っている・・・だが、それは俺も同じか)
今の状況を少し楽しんでしまっているティオス。目的のために彼は邪魔である存在なのに、この時間が長く続いてくれればと思ってしまっている。
(しかし、終わらせなければならない。そろそろ次のステップに進まーーーー)
「「!!」」
そこまで考えていると突如二人が同時に空を見上げた。太陽の光に照らされた翼を広げた何かは、二人の間に勢いよく舞い降りた。
「よぉ、待たせたな」
真っ白な翼に光り輝く肉体。しかし、その顔は間違いなくティオスが最も警戒していた少年。
「なんだ・・・この感覚は・・・」
言葉を失っているティオスと感じたことのない魔力を感じている天海。二人の視線が突き刺さっているにも関わらず、シリルの表情は一切乱れていなかった。
「このタイミングで来るとは・・・ちょっと想定外だった」
いつかは目覚めて挑んでくることはわかっていた。しかし、そのタイミングが彼の想定よりも遥かに早い。ましてや妖精の心臓を手に入れてくることなど、誰が考えられたであろうか。
「く・・・くく・・・」
どうしたものかと頭を悩ませているティオス。それとは別に、天海は不敵な笑みを浮かべていた。
「これはいい・・・ティオス以外にもこれほどの強者がいたとは・・・」
新たな強者の登場に喜びの感情が抑えきれない。ティオスを倒して終わるかと思っていた戦いに、次なる標的が出てきたからだ。
シリルは彼からの熱視線に気が付いた。だが、その姿を一瞥すると、小さくため息を付いた。
「天海・・・悪いけどお前に興味ないわ」
「何?」
その言葉に目を細めた天海だったが、突如に鈍い痛みが腹部を襲う。
「ゴフッ・・・」
口から溢れ堕ちる鮮血・・・その理由はぽっかりと空いた腹部の穴。
「バカな・・・いつの間に・・・」
天海・・・いや、ティオスですら気付かないほどの光速攻撃。信じられない出来事にティオスは目を見開いていた。
「お前じゃ相手にならない。そこで大人しく寝てろよ」
「くっ・・・そ・・・」
どんどん血の気が引いていき地面へと崩れ落ちる。奇しくも彼が撃ち抜かれたのは
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