恐れていたもの
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識を持っていた二人の心が、肉体が異常反応するほど思い込んでしまった結果に過ぎない」
ティオスはそのことを知っていた。ゆえに二人を偽りの呪いに捕らわれた哀れな存在と常々言っていたのだ。
「でも!!じゃあ初代たちはどうやってこんなに長く生きていたんだ!?」
そこで新たな疑問点。普通の人間であれば、こんなに長く・・・ゼレフに関して言えば400年以上も生きていくなんて絶対に無理。しかし、彼らはそれを実現させてしまったのである。
「それは彼らの高い魔力が自殺細胞のバランスを崩してしまったからだね」
「自殺細胞?」
聞き慣れない言葉に聞き返すことしかできない。シリルは小さくうなずくと、その問いに答える。
「よく病は気からって聞くだろ?あれは俺たちの中にある自殺細胞が過剰反応を起こし、肉体を疲弊させ、破壊しようとする。この細胞が通常作用していれば、ある程度肉体が破壊された段階で死を選ぶようになっているが、二人は《矛盾の呪い》にかかったという思い込みから、その細胞が通常作用しなくなってしまったのさ」
完全に意識を失っている二人に軽く目を移すと、少年は口を真一文字に閉じる。
「これは本人がそれに気付いた時点で自殺細胞が死を選び、肉体が滅びる。死んでほしくなければ・・・」
扉から一歩外に踏み出し、真っ白な翼を大きく広げる。
「このことは隠して置いた方がいい」
「シリル!!」
翼を羽ばたかせどこかへと飛び立っていく少年。どんどん離れていくその姿を見送ったナツは、あることに気が付いていた。
「あいつ・・・まだ正常な思考も残っているのか?」
最後の言葉にそんな疑問を抱いた青年。彼の頭の中がどうなっているのか・・・それは本人にしかわからない。
ドォンッ
響き渡る爆音。周囲のクレーターができるほどの強い衝撃を与え合っている二人の男の戦いは、全く衰えることはなかった。
「竜神の握撃!!」
氷と水を纏わせた拳を放ったティオス。しかしそれは目の前の敵を捉えることはできず、地面に突き刺さる。
「まだ上がるんだろ?」
「もちろん」
手を素早く地面から抜き取ると、すぐさま天海へと向き直る。漆黒の翼を羽ばたかせ、十分な距離を取ったはずの彼との差をすぐさま詰める。
「ほぅ」
スピード、パワー、反応速度・・・ありとあらゆる能力が上がっているティオス。天海はそれに感心している。そして同時に、胸の高鳴りを感じている。
(やはりそうだ・・・お前でなければ俺を満足させることはできない。そしてお前と戦えるのは・・・)
「俺しかいない!!」
両者
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