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ある晴れた日に
433部分:夏のそよ風吹く上をその十六
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夏のそよ風吹く上をその十六

 それぞれ向かい合ってソファーに座っている。まず口を開いたのは江夏先生だった。
「見つかったわ」
「遂にですか」
「ええ。何とかね」
 こう田淵先生に継げるその顔は憔悴し疲れきったものであった。
「見つかりはしたわ」
「生きて・・・・・・るんですよね」
 見れば田淵先生の顔も同じだ憔悴しきっており今にも倒れそうである。その顔で江夏先生の顔を見詰めながら問うてきたのである。
「それで」
「それは安心して」
 こう田淵先生に告げはしてきた。
「大丈夫だったから」
「そうですか」
「けれど」
 しかしと。こうも言ってきたのだった。
「酷いものよ」
「それじゃあ」
「間違いないわね」
 江夏先生はその声も深刻極まるものにさせていた。
「ずっとね。酷い目に遭っていたのよ」
「そうですか。やっぱり」
「まだ詳しいことは私もわからないけれど」
 江夏先生は前置きもして話すのだった。
「けれど。本当にね」
「あの、それでですけれど」 
 田淵先生は憔悴しきったうえに強張ってしまった顔でまた江夏先生に尋ねた。
「このことを知っているのは」
「まずは私達に」
「はい」
「校長先生に」
「それと」
「主任先生よ」
 これだけだというのである。
「学校じゃ四人だけよ」
「そうですか」
「そしてね」
 また言葉を付け加えてきた。
「これからもよ」
「このことを知っているのは」
「四人だけよ」
 江夏先生の言葉は刻み込むようなものだった。
「私達四人だけよ。いいわね」
「はい」
 田淵先生は江夏先生のその言葉に対してこくりと頷いたのだった。
「わかりました」
「誰にも言っては駄目よ」
 また釘を刺してきたのだった。
「いいわね、それだけはね」
「わかっています」
 田淵先生も真顔で返す。
「それだけは本当に」
「とにかくね」
 江夏先生の言葉は続く。何時になく真剣な。
「私達の胸だけに留めておいて」
「一番辛いのはあの娘ですし」
「辛いって思えるのかしら」
 江夏先生はここで溜息混じりに今の言葉を出した。
「果たして」
「そうですね」
 その江夏先生の言葉を受けてだった。田淵先生もまた俯いて溜息を出すのだった。
「聞いた話によると」
「それが事実だから」
 今度は事実という言葉も出された。
「わかるかどうかというとね」
「意識はあるんですよね」
 また問う田淵先生だった。必死になっている顔だった。
「意識は」
「一応意識はあるわ」
 江夏先生はそれは認めた。
「けれどね。もう反応がね」
「ないんですか」
「もうボロボロになってて」
 辛そうな言葉が出され続けていく。
「何て言うか」
「廃人ですか」

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