暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第7章:神界大戦
第208話「決死の撤退」
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「行かせんぞ」

「行かせません」

「ッ……!」

 だが、それを遮るように声を掛けられた。
 振り返れば、そこには数人の人影が。

「羽に、輪……?」

「“天使”……!」

 現れたのは、天使の如き羽と幾何学模様の輪を持つ者達だった。
 祈梨から聞いていた、神界の神の眷属たる“天使”だ。

「っ………!」

「ぁ……」

 その姿を見て、奏となのはが一際強い反応を見せる。
 その身に宿る“天使”の影響だが、今はそれを気にしている暇はなかった。

「追いつかれたか……!」

「どうする……?」

 それよりも、どうするべきか。
 追いつかれた現状、このまま逃げる事は出来ない。
 しかし、だからと言ってまともに相手をしていたら取り囲まれてしまう。

「……僕が相手を―――」

「………」

 優輝が前に出て、囮になろうとする。
 ……それを、先に出て制する者がいた。

「……行って……!」

「えっ、司!?それに奏と緋雪も!?」

 前に出たのは、司と奏、そして緋雪。
 まるで“ここは引き受ける”とばかりに“天使”達に立ち塞がった。

「なぜ……」

「……少しぐらい、私達を頼って」

「っ……!」

 どうして囮になろうとするのか、優輝が尋ねようとする。
 だが、その前に司が寂しそうに言ったその言葉に遮られた。
 感情がないにも関わらず、優輝の目が僅かに見開かれた。

(かなめ)はお兄ちゃんだから。……その要の存在を、失う訳にはいかないよ」

「緋雪……!」

「ごめん、お母さん、お父さん。……でも、安心して。もう帰れない、なんて思わないから。……絶対に、追いつくよ」

 “ここで終わるつもりはない”と、緋雪は優香と光輝に言う。
 そして、“天使”達に向き直り、無言で霊魔相乗を行使する。

「こういう時のために、魔力の予備は用意しておいたわ」

「魔力結晶……その様子だと、相当な数を……」

「100個から先は数えてないけど……まぁ、その数倍はあるわ」

 神界において、魔力の回復はあまり必要ない。
 だが、一時的なブーストにはなる。
 その魔力結晶を、奏は大量に用意していたのだ。

「私は……まだ、恩に報い切れていないから」

「……奏……」

「優輝さんに貰った命。ここで終わらせるつもりはないわ」

 静かに揺らめく奏の魔力と霊力。
 それらは螺旋状に絡み合い、緋雪と同じく霊魔相乗となる。
 その力の静かな力強さから、奏の覚悟が滲み出ていた。

「……優輝君。私達はね、ずっと頼ってた優輝君に、頼ってほしかったんだ」

 最後に、司が優輝に話しかける。
 ジュエルシードの一つが
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