暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第7章:神界大戦
第208話「決死の撤退」
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 神界で単独行動は危険極まる。
 ただでさえ敵と味方の区別がつかないような状況だ。
 戦闘も一対一でさえ一人で乗り越えるのは困難となっている。
 そんな状態に、帝は陥っているのだ。

「っ……!」

 何人かが“探そう”と言う考えを口にしようとして、思い留まる。
 そんな余裕がない事ぐらい、誰もが理解出来ていた。
 危険を冒すどころか、危険の真っ只中でさらにリスクを冒す事は出来なかった。

「辛い選択だが、今は見捨てるしかない……」

「……行くぞ。立ち止まっていたら、すぐ追いつかれる」

 クロノが苦虫を?み潰したように言い、優輝が催促する。

「………」

 飽くまで冷静に判断し、行動する優輝に、何人かの視線が集まる。
 つい先程、優輝はソレラに“貴方のせい”だと言われた。
 何も鵜呑みにする者はいない。しかし、思う所はあった。
 そして、優輝本人がどう思っているのか心配する者もいた。

「……敵の狙いは僕だ。いざとなれば、僕を囮に逃げろ」

「ッ……!お兄ちゃん!?」

 その視線に気づいてか、優輝がそんな発言をする。
 それに真っ先に反応したのは隣を並走していた緋雪だ。

「何を言ってるの!?そんな事……!」

「狙いが僕なら、他の皆に無闇に手を出す事もないだろう」

「ッ………」

 分かっていた。感情がない今の優輝なら、こう判断するだろうと、緋雪は分かっていた。

「……そうとは限らない。限らないよ」

 だからこそ、出来る限りその判断を否定しようと、反論する。

「相手は神。お兄ちゃんが狙いで、囮になっても手を出さないとは限らないよ。……私達を利用してでも追い詰めるつもりなんだから、意味がないよ」

「それでもだ。……僕の事で巻き込みたくないからな」

 だが、それでも優輝は押し通す。押し通してしまう。
 言葉で止めても、行動で止めても、優輝はその行動を止める様子はなかった。

「優輝……」

「………」

 止める事が出来ないため、心配そうに見るしかない。
 そんな、優香や光輝から送られる視線に、優輝は向き合おうとしなかった。
 ……感情もないのに、それを避けるようにして。

「とにかく、今は出口に……」

「出口……そうだ、椿さん達は……!?」

 話を切り替え、撤退を優先する。
 その際に、祈梨の護衛をしていた椿達の事を思い出す。

「……ソレラが洗脳されていた以上、彼女も正気とは限らない」

「なら、急がないと!……いや、撤退としても急いでたけど、それ以上に!」

 椿達が危ないと、今更ながらに緋雪は危機感を抱く。
 緋雪だけでなく、話を聞いていた全員が急ごうとする。






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