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Blazerk Monster
抜き打ち勝負!
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「そりゃ悔しいしこいつにぎゃふんと言わせてやりたかったけどさ。涼姉がやめろって言ってるのに俺だけ怒ってても仕方ないだろ?」
「そう、ですか」
「……ちょっと見直した」
「ははっ、すっげーいい子ちゃんの回答だね。なら次を楽しみにしてるよ。……君達とはまた戦うはずだから」
「えっ」
「こっちの話ー! んじゃいくぞダチ!」
「オオンッ!!」

 千屠は走って橋を渡り、オオタチと共に走って去っていった。後には、巡達が残される。

「涼姉……ごめん、勝てなかった」
「謝ることないわ。さっきも言ったけど、本当のことだから」
「涼香は……昔、何があったの?」

 明季葉の問いは、責めるつもりのない純粋なものだった。涼香に対する『平気で人を裏切る』という言葉が気になるのは巡も一緒だ。涼香は少し俯いたまま言う。

「今は言えないわ。私にもよくわからない。ただ、私には被害者面する権利はないのよ」
「……よくわからない」
「わからなくていいわ。その方が、ずっといい」
「でもさ、今はってことはいつか話してくれるんだろ?」

 かもね、と涼香は答える。何か涼香には後ろめたいことがあるのだろう。つまり千屠のあの言葉は全くの嘘ではないということだ。

「けどけど、あいつは嘘つきだぜ! だって涼姉が平気で人を裏切れるならあんな辛そうな顔するわけないもんな!」
「確かに……」

 それは間違いないはずだ。千屠の言葉に多少なりとも傷ついた以上、平気だったとは思えない。

「……言うわね。でも、そんな風におだてたってレポートの提出期限は変わらないわよ」
「ちょ、そんなんじゃないって!」
「大丈夫、今のバトルで思ったことを書けばなんとかなる……」
「その手があったか! 愛してるぜ明季葉ちゃん!」

 明季葉が無言で電気針を出し、威嚇するので巡が慌ててトレーナーカードを出してレポートを書き始める。涼香がそれを見て再び周りの警戒に戻るのを、海奏は会話に関わることなく黙考していた。

「千屠のお姉様が、四葉様……?」

 千屠が巡達の横を通り抜けた時と、奏海の呟きは、他の三人に聞こえることはなかった。

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