抜き打ち勝負!
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ぎ倒して出てきたのはゴロゴロと転がってくる巨大な氷の球だった。半径二メートル以上の球体となって、水底のオオタチへと突っ込んでくる!
「だったら俺のスワビーが上流までサンドを運んで、川の水を凍らせて自分の体に纏って作って超特大の『アイスボール』! 斬れるもんなら斬ってみろ!」
これが巡達三人で建てた作戦。今の巡達の攻撃ではまともなダメージにならない。時間はかかるがなんとか最大威力の『アイスボール』を叩きこめれば勝機はあるかもしれないが、時間になるまで向こうがサンドを放っておくわけもない。そこで一旦オオスバメが全力で上流まで移動してサンドを下ろし、川そのものをレールにして丸くなったサンドをがオオタチを襲うように川へ突き落したのだ。
「へえ……ちょっとはやるじゃん! 一瞬だけ本気が出せそうだよ、なあダチ!」
「オオオオンッ!」
だが、千屠とオオタチは巨大な氷球に恐怖していない。むしろ楽しそうに迎える。その表情に、涼香は何を感じたのだろう、思わず咄嗟に、という勢いでヘルガーに指示を出した。
「ヘルガー、あの氷に『火炎放射』!」
「えっ!?」
「……ガッ」
奏海が驚いて涼香を見る。しかしヘルガーは知らん顔をした。涼香が歯噛みして千屠を見る。
「さあ真打の大太刀、見せてあげるよ! 『アイアンテール』!」
とぐろを巻いた態勢から、氷球の中央の高さまで飛び跳ねる。その勢いのまま、尻尾を鋼のように鋭く、硬く、研ぎ澄まされた日本刀のように降りぬかれ――川の水で作った氷が、バラバラに砕け散った。真ん中のサンドが川の中へ落ちて、もがくのを奏海が慌ててボールに戻した。涼香がため息をつく。
「嘘だろっ!?」
「ひえええっ……!」
オオタチはくるりと宙返りをして着地し、氷を砕いた尻尾を見せつけるように振った。千屠はけらけらと愉快そうに笑う。
「あら、壊れちゃったか……でもなかなか面白かったよ! これで終わり? それともまだ何かある?」
「そこまでよ」
巡が何か言う前に、再び涼香が前に出て。ヘルガーも傍らに出て、口の中に炎を燃やしている。
「涼姉、勝負はまだついてないぜ!」
「このまま続ければまずあんたのポケモンが死ぬわ。それでもいいなら、止めない」
「し、死ぬ!?」
三人がぎょっとする。ポケモンバトルでは油断をすれば手持ちを死なせてしまうことがあると言われたことはある。でも今のはもっと断定的だった。
「いっけね。ちょっとテンション上がり過ぎちゃったや」
「テ、テンションって!」
「よし、今日はここまでにしとくか! なあダチー」
「オオッ」
千屠は授業を終えた後の先生のようにさっぱりと言う。それは涼香の言うことについて否定する気がないことと、言い訳す
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