抜き打ち勝負!
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ぐ。
「鼓膜を切り裂け、『ハイパーボイス』!」
ジェット機が飛び立つような轟音が空間を支配する。巡達は涼香の指示で平気だが木々に隠れて撃つ機会をうかがっていたフクスローは驚いて木から落ちてしまった。
「フクスローってさあ、不意を突かれるとしばらく使い物にならないんだろ? やれダチ!」
「スワビー、『電光石火』ッ!」
「うおっ!?」
「オオッ!?」
半ば錯乱状態のフクスローを仕留めようとしたオオタチに、川の上流から飛んできたオオスバメが思いっきり体当たりして川に叩き込む。勢いをつけたスピードにさすがの千屠も驚いたようだった。
「ぎりぎりセーフ! お待たせアキちゃん!」
「だから、明季葉……でも、悪くないタイミング」
「スワビー、続けて『エアカッター』!」
二メートル近くあるオオタチは川の底に足をつけ悠々と身体を半分以上出す。だがそこへ空気の刃が浅く裂き仰け反った。
「このっ……! そんなちまちました攻撃、何発やったって無駄だってわかんないかなあ? ダチ、『とぐろを巻く』!」
「オオッ」
オオタチが川の中に体を沈みこませる。水中であの蛇の構えを取っているのだろう。
「新人さんに教えてあげるよ。『とぐろを巻く』はただの構えじゃなくて立派な技。あの体勢で攻撃から守り、さらに体を伸ばす勢いを使うことでスピードと攻撃力を上げる珍しい技さ。次にダチが水面から出てきた時、オオスバメがどこにいようが切り裂く!」
「だけど、水中で地上と同じようには動けないんじゃないか?」
「舐めんなよ、ダチ、軽く『波乗り』をかましてやれ!」
ざぶん、と小川がうねり、小波が地面に倒れたフクスローに覆いかぶさろうとする。咄嗟に明季葉が庇ったことで飲み込まれはしなかったが、そうしなければ川の中に引きずり込まれたかもしれない。
「というわけで、俺のダチは水辺であろうと問題なく戦えるのでしたー! むしろ水中に隠れればエアカッターなんか届かないし、残念無念また来週ー!」
「……それは違うぜ」
「は?」
千屠が首をかしげる。今波乗りを起こしたのは間違いない事実だしオオタチの体は水に隠れているのに何を言っているのかと。しかしその時、川の上流から大岩でも転がってくるような音がどんどん近づいてくるのが聞こえた。そして、川の水位が少しずつ下がっていく。川底でとぐろを巻いていたオオタチの体が見えていく。
「おかしいと思わないか? いくらオオタチが俺たちより大きくたって、橋が架かってるほどの川なのに立ち上がっただけであんなに体が出るなんて」
「ははっ、そんなの川が思ったより浅かったってだけでしょ? そういうハッタリでダチを川から引きずりだそうったって、そうはいかねー」
果たして、上流の木を何本かな
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