抜き打ち勝負!
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らねー! ダチ、モココに『電光石火』!」
オオタチがまっすぐ突っ込んでモココに自分の頭をぶつける。そこまで力を入れていないように見えるのに、モココの体がゴロゴロと転がって倒れた。
「続けてフォッコだけど、あれは今日のご飯じゃないからなーダチ?」
「オオ?」
「とぼけてもだめ。普通に倒せって」
「……オオッ」
「う、うわっ……逃げてフォッコ!」
軽いやり取りの後、オオタチがフォッコに飛び掛かる。ニトロチャージで上がったスピードで逃げ回るが、まるでごっこ遊びのように簡単に先回りし、わざとオオタチはフォッコの前で体を立てて威嚇する。フォッコは捕食者の視線にその場でへたり込んでしまった。持っていた小枝を落とし、耳が萎れる。奏海が戦意喪失したフォッコをボールに戻して氷に覆われた鼠ポケモン、サンドを出す。明季葉もフクスローを出した。
「あっという間に一体ずつ……まだやるー?」
「あ、当たり前だろっ」
「といっても見た感じ今出してるやつも大してレベルは変わんないでしょ? 勝ち目がないなら素直に諦めるのも優しさだと思うけど。なーダチ」
「オオンッ」
オオタチは再びとぐろを巻いて待ちの姿勢を取る。間合いに入れば再度、居合斬りが体を捕らえるだろうことは想像に難くない。
「……勝ち目ならあるぜ。気になるか?」
「ま、気にならないと言えば嘘になるね」
千屠は伸びをしながら答える。巡達に勝ち目があるとは全く思っていないのは明白だった。だからこそ、巡は何とかしたい。涼香に昔何があったかは知らないけれど、それを平気で嘲笑う奴には負けたくなかった。だから、無茶苦茶かもしれなくても巡は言う。
「ならちょっと待ってろ! 今から三人で作戦を考えるからなっ!」
人の声やポケモンの技による音が数秒消えて、小川のせせらぎだけが空間を支配した。千屠は目を丸くした後、初めて少し困ったような表情になった。
「え、今から? 俺さっき待たないって言ったよね?」
「なんだよ、怖いのか? オオタチには自信があってもトレーナーとして俺たちの作戦を迎え撃つ度胸がないなんてそれこそ情けないぜ!」
「はあ? んなわけないねー。……いいよ、三分間待ってやる! ただし、その後ちょっと本気出すから覚悟しろよマジで!」
千屠の白い顔に、わかりやすく青筋がたった。自分でも子供っぽい挑発だとは思ったが、千屠の挑発も同レベルなので乗ってくると思ったのだ。
「よし! 奏海、明季葉ちゃん、三人で何とか乗り切ろう!」
「ええっ……でも、あんなに強いオオタチ相手に今の僕達じゃ勝ち目なんて……」
「別に負けてもお金を渡すだけ……ここは大人しく降参したほうが」
「でも、このまま負けたら涼姉は言われっぱなしじゃないか! それは嫌だろ
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