暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン11 鉄砲水の襲撃者
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ての実戦なんだ、楽しいデュエルと洒落込もうじゃないの!」

 デュエルディスクを展開すると同時にさらに1歩前に出て、後ろの2人との距離をさりげなく広げる鳥居。それに対してにやりといたずらっぽく笑った少年がその左手首に付けていた青い腕輪に手をかけると、かすかに光ったそれが音もなく展開される。一体どのような素材からできているのか、半透明な膜のようなものが発生したのだ。よく目を凝らすとその膜は常に流動を続けており、少なくとも液体であることがわかる。

「なんですか、あれ……?」

 八卦の呟きは、この場の全員の気持ちを代弁していた。なるほど確かに、あの腕輪の変形したその姿はシルエットだけ見ればデュエリストの必須アイテム、デュエルディスクに酷似している。だが、その姿は例えるならば色違いモンスター、ホーリー・エルフとダーク・エルフほどになにもかもが違う。
 そして重要なのは、かつてプロとしてデュエル界の最先端を突っ走っていた糸巻。そして子役時代からあちこちで演劇デュエルを繰り返し、その都合上デュエルディスクの開発会社ともコネが強かった鳥居。デュエル用のアイテムに関してはスポンサーからの試供品等でかなり詳しい知識を持つはずの両者ともに、あの腕輪から展開するデュエルディスクは見たことがない品だという点だ。
 ……やはり、この男は何かが怪しい。意見が一致した鳥居が、警戒をより一層色濃くする。そして視線を自らのデュエルディスクに向ければ、問題なく相手のそれと同期したとの情報。どんな代物なのかはともかく、内部処理的には正規品と変わらないもののようだ。そして表示される、自分が先攻を取ったことを告げる表示。

「……ゴホン。『それではお集りの皆様方……とはいえ、今宵の観客はあいにくと数が少ない模様。しかし世の中には少数精鋭との言葉もございます、願わくば皆様方がそうでありますように』」

 目がぱっちりと開き、背筋も伸び、優雅に深々と一礼する。少年はいきなり態度の豹変した彼の様子にやや眉をひそめるが、特に何も言うことなく自らのデュエルディスクを構える。

「「デュエル!」」

「『それでは私の先攻、普段であれば目くるめく演劇の世界へとご招待するところですが、どうやら本日のお客様はいささかお急ぎの用がある模様。とあらば今回は少々趣向を変え、私としてもやや珍しい異色の演目。ワンターンキルの妙技をば、お目にかけると致しましょう』」
「ワンキル?」
「鳥居の奴がワンキルか、確かに珍しいな」

 不穏な単語に反応する少年と、感心したように呟く糸巻。その後ろで少女は初めて見る上級者同士の戦いに引き込まれたのか、食い入るようにデュエルの流れを見つめていた。

「『まずはメイン1の開始時に魔法カード、強欲で金満な壺の効果を発動。このターン他の方法によるドロ
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