ターン11 鉄砲水の襲撃者
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た日。カードショップ七宝に訪れた糸巻がすれ違った、それよりも前に店に来ていた少年。あの時は外見相応に見えたそのにこにこと人懐っこい笑みは、暗闇の中で影が差した結果その見た目のアンバランスさを余計に強調しなんとも怪しいものに見えた。
「はーい、そっちの2人は久しぶり……ってほど認識もないか。なんでもいいけどとりあえず、今日のところは帰ってくれると僕としては大変嬉しいかな。説明しろってんならやってもいいけど、とりあえず今は立て込んでるから次にして、次に」
どこかのんびりとした口調ではあるが、少年はそれなりに真剣な顔である。だが糸巻が何か返すより先に、鳥居が1歩進み出る。
「悪いが、そうはいかないな。俺らも仕事で来てるんだ、胡散臭いガキの言うこと聞いて帰ってきましたじゃ話にならん」
「あ、やっぱり?」
その返事も想定内なのか、特に気にした風もなく肩をすくめる少年。これに関しては、糸巻も同意見だった。面識と呼べるものがあるかどうかすら怪しい通りがかり程度の少年の言葉と、近辺に集まる状況証拠の数々。さすがにここで引くという選択肢は、デュエルポリスとしては論外でしかない。
それであってもなお、糸巻が動かなかったのには理由があった。それが目の前の年齢不肖な少年からかすかに感じる、得体のしれない何かだった。全盛期に比べれば錆びついているとはいえかつて培ったプロとしての本能が、この男は危険な相手だと警鐘を鳴らす。自分だけなら笑い飛ばして喧嘩を売るのもいいが、この部下は?そしてデュエルポリスですらない、巻き込まれただけの妹分は?背中に庇う少女の手を握る腕に、ぐっと力がこもる。
「んー、じゃあこうしましょ。申し訳ないけど、今はちょっと本気で立て込んでるからね。誰でもいいけど、僕とデュエルして決めようじゃない。さっきはなかなか面白い話を聞かせてもらったけど、アンティルールの拡大解釈ってやつ。僕が勝ったら、悪いけど今日のところは退いてもらうよ。そっちが勝てば……まあ、僕も含めて好きにすればいいよ」
「条件に差があるな、随分と余裕じゃないか」
「そりゃ僕だって、自分が無茶言ってる自覚はあるもん。勝負仕掛けてるのもこっちなんだから、条件ぐらいは譲歩しとかないと申し訳ないでしょ」
あっさりと告げるその表情からは、相手を馬鹿にするどころか本当に申し訳なさそうに思っている様子が読み取れる。だが逆に言えば、これはこの少年にとっても最大限の譲歩ライン。これ以上の好条件を引き出そうとしても、もはや首を縦に振ることはないだろう。そのあたりの駆け引きは慣れたものな糸巻が視線を向けると、わずかに振り返った鳥居も同じことを考えていたらしくそれを受けて小さく頷く。
「俺が相手になろう。それでいいな?」
「オーケイ、そうこなくっちゃ。ここに来てから初め
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