ターン11 鉄砲水の襲撃者
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の加減だっただろうか。その真相は、ただ彼女本人のみが知る。
しかし、大量のお姉様成分のドーピングによりようやく力が入るようになってきたその足で立ち上がろうとした少女の動きはまたしても途中で止まる。熱血指導のインパクトでいつの間にやら頭からすっ飛んでいた、そもそもの自分がここに来た理由を今になって思い出したのだ。
「あのお姉様、それに鳥居さんも。すみませんがもう少しだけ、私に時間をくれませんか。私は確かに、ここで女の子の幽霊さんを見たんです」
決意を秘めたその言葉に、デュエルポリス2人がなんとも言えない表情で顔を見合わせる。この件にテロリストと「BV」の関与がないことをまだ少女から聞いていない彼女たちにとってはこの幽霊騒ぎそのものが薄汚れた欲望にあふれる茶番、幽霊の正体も実体化したブレイクビジョンでしかない。これ以上この件に首を突っ込ませたところで、子供には刺激が強すぎるだろうという考えあってのことだ。
だが結局、大人2人が少女の満足のいく答えを返すことはなかった。閲覧室の端の方から、落ち着いた調子の少年の声が響いたのだ。
「申し訳ないけど、それは勘弁してほしいかな。ちょっとばかし厄介なことになっててね、今はあの子を下手に刺激してほしくないのよ、これが」
「誰だ!」
「!?」
突然の第三者に対し、その場にいた3人のとった反応は様々だった。咄嗟に振り向いて臨戦態勢となると同時に少女の手を取り自分の背中側に引っ張り込んで防御姿勢も同時にとる糸巻に、不意打ちに対しフリーズしてしまい対応の遅れる八卦。
そして唯一手の空いていた鳥居が、そんな女性陣の前にゆらりと立ち上がる。
「……いつから、そこにいた?」
いつもの軽い態度は鳴りを潜め、ドスの利いた低い声で本棚の向こう側、声の聞こえた暗闇の中に問いかける鳥居。普段見慣れていたうだつの上がらない苦労人としての彼とはあまりに違うその調子に、少女が小さく息をのむ。あるいは、これも彼の得意とする演技の一環なのかもしれない。いずれにせよその声に応え、足音と共に声の主は現れた。
「どうどう、そう怒りなさんな。で、いつからだっけ?そっちの子がデュエルするちょっと前ぐらいからかな。さすがにまずそうだし負けたら止めとこうかとは思ってたけど、普通に勝っちゃったからすっかり出そびれてね」
「アンタ……」
「あなた、確か……」
暗闇から出てきたのは黒目黒髪の、姿だけ見ればせいぜい15、6程度の少年。しかしその雰囲気はまだ子供らしさの残る顔立ちからは不自然なほどに大人びており、実年齢はまるで読めない。見方によっては外見相応にも、あるいはそれよりも10も20も年上にも捉えられる。
そして糸巻と八卦の2人には、この少年に対して見覚えがあった。あれは、彼女たちが最初に出会っ
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