第百八話 善行がもたらした果報その五
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「まことにな」
「そうっちゃな」
「その結果だ」
英雄はまた一口飲んで再び言った。
「こうしてだ」
「紀伊も手に入ったっちゃ」
「大和、播磨、淡路に続いてな」
「これはいいことっちゃ」
「まことにな、しかし」
「これで終わりじゃないっちゃ」
「近畿を統一してな」
それからもとだ、英雄は話した。
「そのうえでだ」
「浮島全体を統一して」
「その力でだ」
「海の魔神も倒すっちゃな」
「俺達だけで魔神を倒せるか」
それはと言うのだった。
「おそらくだ」
「無理っちゃな」
「魔神の力はわからない」
多くの書を調べてもわかっていない、その名も姿もだ。
「しかしだ」
「下の世界全体を石にしてです」
紅葉が言ってきた、梅を食べてから酒を飲んでいる。
「海の中に沈めてしまうなぞ」
「恐ろしい力だ」
「殆ど何もわかっていませんが」
それでもというのだ。
「わかっていることがあります」
「それがだな」
「はい、恐ろしいまでの力を持っている」
「このことはわかっている」
「そのことは間違いありません」
「二つの浮島以外を全て石にして海に沈める」
「そうしたことが出来るなぞ」
まさにと言うのだ。
「絶大な、神の中でも」
「かなりの力がないとな」
「出来るものではないので」
「それはわかるな」
「はい、そして」
「その魔神を倒そうと思えばな」
英雄は刺身を食べつつ話した、刺身も実に新鮮なもので美味い。勿論魚ともよく合っていて酒も進む。
「俺達十三人だけでなくだ」
「西の島の方々も必要で」
「そしてだ」
「軍勢もですね」
「必要だと考えるからだ」
それ故にというのだ。
「俺達もな」
「まずは全員が揃い」
「そしてだ」
そのうえでと言うのだった。
「それからだ」
「さらにですね」
「島も一つにしてだ」
「その軍勢で攻めますね」
「海の魔神をな」
勿論西の浮島、久志達とも力を合わせてだ。
「そうして倒す」
「左様ですね」
「だからだ」
今はというのだ。
「浮島も統一する」
「その為に今は動いています」
「紀伊で満足はしない」
こう言うのだった。
「そうする、ではいいな」
「紀伊はこれで完全に手に入れました」
「次はだ」
何をするか、英雄は紅葉に飲みつつ応えた。
「伊勢と但馬も手に入ってきているが」
「都でござるな」
智が言ってきた。
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