第百八話 善行がもたらした果報その四
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「降ることを決心した様で」
「そうなのか」
「信用出来ると判断して」
高野山もというのだ。
「そうして」
「それは何よりだ、高野山は深い山々の中にあり」
そしてとだ、英雄は話した。
「そのうえで高野山自体もな」
「険しい山で」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「僧兵達もいる」
「だからであります」
「攻めるとなるとな」
「かなりの難所であります」
「そこを攻めずに済むなら」
それならと言うのだった。
「それに越したことはない」
「そうでありますな」
「後は寺社の僧兵達を何とかすることだが」
英雄は今度は政の話をした。
「これはどうするかだな」
「それは荘園から檀家に変えて」
自社の収入源をとだ、言ってきたのは謙二だった。
「江戸時代にそうなった様に」
「そうしてか」
「僧が武を持たずに済む様にする」
「それがいいか」
「そうかと」
「そうだな、ではな」
「僧兵はそうしてですね」
「そもそも僧兵は荘園を守る為の兵だ」
そしてそこにいる民達を守る為だ。
「ならな」
「荘園をなくししかも泰平なら」
「寺自体を守る必要もなくなりな」
「僧兵は必要なくなります」
「そういうことだな、ではな」
「その様にですね」
「政を進める」
寺社についてもというのだ。
「これからはな」
「高野山についても」
「そうしていく、高野山が降れば」
紀伊で第一の寺社勢力であるこの寺がというのだ。
「最早な」
「この紀伊で降っていない勢力はありません」
「そうだ、ではな」
「それを待ちますね」
「そうする」
こう話しつつだ、英雄は軍勢を紀伊和歌山城に入れた。そうしてだった。
紀伊和歌山城に入ったその時にだった、高野山からの使者が来てそのうえで英雄達に対して降ると言ってきた。これでだった。
英雄は紀伊一国を手に入れた、それでだった。
英雄は紀伊和歌山城の宴の時に仲間達だけで開いた時もあったがそこで十二人の仲間達に話をした。
「紀伊は実質な」
「一戦も交えずっちゃな」
「手に入ったな」
こう愛実に話した。
「そうなったな」
「魔物退治はしたっちゃ」72
「それはな、だがな」
「戦自体はっちゃ」
「しなかった」
「そうっちゃな」
「しかし魔物退治もありだ」
そしてと言うのだった、ここで。
「六万の兵が来たという喧伝もな」
「効いたっちゃな」
「だからな」
「兵を進めてっちゃな」
「よかった」
英雄は杯で酒を飲みつつ言った。
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