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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 21
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供達はその他の仕事を分担し、効率良く動き回っていた。
 やはり、仕事に不慣れな彼一人を除いて。
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 「ほうちょう、ちがう! こう!」
 「はぁ!? だから、同じ持ち方してんだろ!? つか、なんでお前が包丁持ってんだよ! ガキのクセに!」
 「おっさん、へたくそかよ。わるいひとのクセに、かっこわるー」
 「うっせえよ! 黙れ、クソガキ!」
 「もーっ! ケンカはだめなのーっ! わるいひと、またゆびきっちゃうよ!?」
 「ばーか、そう何度も何度も怪我してたまるくぁっっーーっつぅぅ……!」
 「「……わるいひと、あたまわるい……」」
 自炊能力が高い騎士達に教わっても、普段刃物を使わないミネットやマイクに教わっても、一向に上達する気配を見せないクァイエットの包丁捌き。小さな傷を作っては悲鳴を上げて大騒ぎする彼に、その場に居合わせた面々は失笑を浮かべるしかない。
 結局クァイエットは今朝と同様に洗い物係へと再配置され、水が傷に染みるーっと喚いて周囲の子供達に呆れられていた。
 彼が自炊できる未来は、まだ遥かに遠い。

 食材の準備が出来た所で騎士達と交代し、子供達は施設の戸締りに奔走する。
 一階と二階でそれぞれ二班ずつに分かれて一部屋一部屋丁寧に、施錠確認を二重に行っていく。
 「あ! ダメだよ、わるいひと! ちゃんとしまってるかどうか、まどをおしてかくにんするの!」
 昨日は侵入者用に開けられていた蔵書室の窓を小さな手でぺちぺち叩き、投げ遣りに閉めただけのクァイエットを注意するしっかり者なミネット。
 「うっせえなぁ……。今更一つや二つ開けといたって、どうせお前らが片っ端から全員取っ捕まえるんだろ? だったら此処まできっちり閉めとく必要は無いだろうが」
 孤児院に入って半日程度しか経っていないが、「問題児の」クァイエットにも何かしら思う所があったらしい。同じ班員として行動しているミネット、マイク、キースを見る目が忌々しげに細まる。
 「きのうは、ぷりしらさまが「あけておいて」っていってたから、みんなでじゅんびしてつかまえたの。ぷりしらさまがいわなかったら、わるいひとたち、なかにこないもん。いわれてないのにまどをあけてたら、めっ! なの!」
 「……ああ。あれって、そういうことだったのか。オレ、いつもはにかいのとじまりばっかしてたから、なんでここにまどをみにきたのか、ぜんぜんいみわかってなかった」
 「まいくがこじいんにくるまえは、もっとたくさんあけてたんだよ。つかまえたわるいひとたちみんなに、げんかんからはいんなきゃだめ! っていってたら、あんまりこなくなったけど」
 「…………って事は、やっぱり昨日だけの話じゃねーのか、アレ……」
 不特定多数の敵の為に予め用意されていた罠。
 
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