第二章
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するのは自業自得である。だが、子には何の罪がある?
しかし、アリシアは生まれた事自体を呪った。いや…呪わずにはいられなかったであろう。
旧皇家が本当に隠したかったことは…この事だったのかも知れない。
戦の前でも近親婚は禁忌であり、今もそれは変わらない。それも親が子を床に誘うなどあってはならなず、剰え子を産み落とすなど…。
自分達の欲でどれ程子が傷付くか考えられなかったのかと、ルーファスは心から憤った。いや、彼だけではない。それを知った全ての魔術師らも、マルクアーンでさえ声を荒げたと言う。
本来なら…アリシアは幸せに暮らせる場を与えられるべきであったのだ。罪を負わず、それを知らぬまま、ただ一人の女性として生きれる様にすることが親の務めだった筈である。それを隠蔽し、手元で監視するように…まるで腫れ物のように…城の中、他者に育てさせた報いが、この惨劇へと繋がったのだ。
彼女…アリシアは、全てを知った時のまま、そこで時が止まったままなのかも知れない。それはある種、マルクアーンと同じ“呪い"なのかも知れないが…それはあまりにも悲し過ぎた。
「ヴィー!」
「はい!」
ルーファスはヴィルベルトを呼び、二人で大規模な探査魔術を行使した。内容を?時間から離された者?と限定し、この大陸全土を探査すると、そこに二つの影を見る。
一つはマルクアーン、そしてもう一つが…。
「…って、師匠。ここって…。」
「ああ…ミルダーンだ。」
探査の結果、アリシアは隣国のフルフトバールを抜け、その向こうのミルダーンへと達していた。
「恐らく…アリアは俺達がここへ来ることを想定していたんだ。その上で罠を仕掛け、足止めにしたって訳だ。復讐しつつ足止めも出来る…何て狡猾な女だ…!」
ルーファスは苛立った。そんな彼の前に、マルクアーンの姿を見せる。
「あちらも粗方片付いた。が…お前達はこれからのようだな。」
「ああ。俺とヴィーは、これからミルダーンへ向かう。念の為、コアイギス師に連絡し、各国に罠を張ってもらうがな。」
「罠には罠…か。あやつならアリシアより先を見通せよう。」
マルクアーンはそう言うと、何も言わずに立ち去った。この街をこのままにしておく訳にも行かず、彼らに後を託すことにしたのだ。魔術の力のない自分は足手まといになると考えてのことであった。
そして何より…姉、マリアーネの亡骸を浄め、再び埋葬し直さねばならなかった。
だが、その向こうから走って来る者がある。
「ルー!まさか置いてくつもりじゃないだろうな!」
怒りながら走って来たのはウイツであった。そしてルーファスらの後ろからもう一人話し掛ける声があった…。
「主殿!あっちへ返すつもりじゃありませんよね!?」
それは後ろに控えていたアルモスであった。
「アルモス…お
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