第二章
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言った面持ちでミイラの額に手を乗せると、このミイラがこの大聖堂の天井へ納められる迄の全てを見た。それをそのままルーファスへと伝えると、ルーファスの表情は見る間に憤怒の形相へと変わり、アルモスはそれに慄いて後退りした。
「アリア…!!」
ここへ来て、ようやくアリアが何者で、どうしてここまで災禍を振り撒いたのか…その理由が分かったのである。
彼女アリシア・エカテリーナ・フォン・ゾンネンクラールは、旧皇家第四皇子の末裔であった。
この第四皇子ネヴィリムは、表立って何かを成した記録はないが、先の戦での後、和平交渉のために奔走した一人であった。
第三皇子シュテットフェルトとの仲が険悪な事で知られていたが、その理由の一番に挙げられるのがマリアーネのことなのである。
そう…ネヴィリムもマリアーネを愛していたのだ。それ故、ネヴィリムは死したマリアーネを…犯した。それが呪物の根源たる由来となった。
何故シュテットフェルトが?新たに?マリアーネを復活させようとしたのか…恐らくはネヴィリムの行いを知ってしまったからだと推察出来た。
どういう経緯でかは分からないが、アリシアはこの事実を知り、皇家を追いやったのはマルクアーン家…マリアーネとシヴィッラだと考えたのである。
その怒りは凄まじいもので、その力は呪物となりかけていたマリアーネの亡骸を完全な呪物とし、グールの封を解いて復活させ、この大陸全土に罠を仕掛け、大賢者さえ欺いた…。
そして…その年齢さえも欺き続けた…。
「しかし、よくやりますよねぇ…。もう六十も過ぎてるのに…。」
「アルモス…今、何て言った?」
アルモスの何気ない言葉に、ルーファスはギョッとして聞き返した。アルモスはアルモスでなぜ聞き返したのか分からず、不思議そうに言い直した。
「いや、そのアリシアって方、もう六十過ぎた婆さんだって…。」
「待て待て…俺が会ったアリアは、どう見ても二十代半ばだったが…。」
「呪物の力ですよ。まぁ…外見だけですけどねぇ…。」
「とすると…もしかして、アリアは第四皇子ネヴィリムの娘なのか?」
「あれ?言ってませんでしたか?彼女はネヴィリム皇子が十二歳の時に生まれた子です。」
「はいぃ!?」
流石のルーファスもそれには仰天した。
「いやまぁ…お年頃?」
「いやいやいや…そんじゃ母親は?」
「実の母ですが?」
「……。」
もう唖然とする他ない…。
これはマルクアーン家だけでなく…ともすれば旧皇家にさえ復讐するつもりなのかも知れないと考えたルーファスは、直ぐ様この街に来ている全ての魔術師らに力を行使し、彼が知り得た全てを伝えた。
一刻の猶予もない。アリシアは自分の出自を知ってしまった時…それを呪ったであろう。不義どころの話ではないのだ…。
不義を犯した者が自滅
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