第二章
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らない。
「お前たち、リュヴェシュタンの魔術の力を見せてやれ!」
イェンゲンは共だって来た二人の魔術師にそう言うと、自らも詠唱して魔術を行使した。
それはルーファスと同じ光りの魔術であるが、彼のように二言三言であれだけの力は引き出せない。
イェンゲンらは八節の詠唱で力を行使し、目の前の妖魔共を薙ぎ払った。
それを見たゾンネンクラールの魔術師らも、ここは負けじと詠唱を始め、四方八方の妖魔共を撃退してゆく。
「イェンゲン、続けてくれ。結界はウイツとヴィルベルトがいれば維持出来るから、俺は大聖堂へ向かう。」
「分かった。」
イェンゲンがそう返した後、ルーファスは魔術でウイツとヴィルベルトにそのことを伝え、二人の承認を得て魔術を行使する。近場にあった石を拾い上げ、それに陣を描いたかと思うと、直に魔力を注いで封じた。その上にもう一つの力を施し、ルーファスはそれを中心を支える代わりとした。
それらが完全に起動するのを見届けるや、ルーファスは一先ずマルクアーンが民らと共にいる館へと向かった。
「シヴィル。これから大聖堂へ向かうが、あれはどう言う建物なんだ?」
「あれか…あれは古いものでな、恐らくは二百年程経ているじゃろう。故に、地下に礼拝堂がもう一つある筈だ。今はどこから入るか知らんが、わしが見た限りでは堂内左側のどこかの壁に入り口がある筈。」
「で、何を探せばいいんだ?」
ルーファスがそう問うと、マルクアーンは右手を顎へと添えて暫し考えた。
「これだけの妖魔をひっきりなしに出現させられるんじゃ…それなりに力のある呪物が必要な筈…。」
「呪物…だと?」
ルーファスは眉を顰めた。呪物は魔道具とは違い、悪魔と直接力の遣り取りをする禁呪なのだ。謂わば呪術であり、魔術とは異なる系統の術なのである。
「そうだ。それが何かまでは分からん。呪物といっても様々じゃからな。だが、一番最悪なのは…人間の屍を呪物としたものだ。あれはそのものが大妖魔になりかねんからな…。」
「おい…そんなこと有り得んのか?」
「ああ…大妖魔の一つが、正にそれじゃからのぅ。このゾンネンクラールに封のあるあれじゃよ…。」
「第三位…ブリュート・シュピーゲル…。」
ルーファスは背に悪寒が走るのを覚えた…。
それはまるで鏡のように相手の形を写し取って混乱を招き、最後にはその人々の首を刎ねて殺す…噴き出した鮮血で紅く染まると大きな姿見になると言う。
「考えている間はない。行け。」
マルクアーンにそう言われ、ルーファスはその場を後にした。
駆け抜けながら端から妖魔を撃退しつつ、ルーファスは大聖堂へと向かう。
その道すがら見たものは、正しく先の戦の再来と言える悲惨なものであった。ゲシェンクでグールが破壊し尽くし、人々を食い散らかしたあの街並み…それ
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