第二章
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「クラウェンに火の手が!?」
ルーファスらがクラウェンに入る少し前、王都ゾンネンクラールにクラウェン大火の報が入っていた。
「ユーディス。して、民の救出はどうなっておる?」
「は。既に王宮魔術師らがクラウェンに入っており、救出活動は行われております。」
ここはゾンネンクラール王城謁見の間であり、この報告の遣り取りをリュヴェシュタンからの使者…イェンゲンら三人の魔術師らも傍らで聞いていた。
三人はコアイギスの指示でゾンネンクラールに魔術で移転する予定であったが、思った以上にゾンネンクラール側が難色を示し、交渉の末に移転魔術で入れたのは二日前であった。
コアイギスとマルクアーンの考えでは、ゾンネンクラールの王都からも魔術師を率いてクラウェンに向かう予定であったが、クラウェンが火に包まれてから動かしたのでは全く意味を成さない。
「ご苦労であった。下がるがよい。」
王はそう言って魔術師長ユーディスを下がらせ、リュヴェシュタンから来ていた三人の魔術師へと視線を変えた。
「済まなかった。そちらはこの国の為に難を回避しようと申し出てくれたのだと言うに、我らはそれを信用せなんだ。心から謝罪する。」
「いえ…あの時は未だ何が起こるのか分からぬ状況でありました。それに、これは恐らく…まだ終わらぬものと心得て頂きたい。」
イェンゲンがそう言うや、王は眉間に皺を寄せて返した。
「…これは始まりに過ぎぬと?」
「陛下。我が国のコアイギス師と大賢者マルクアーン殿は共に、ゲシェンクでのグール復活も妖魔出現も、大災害の…いや、戦の下準備の様なものと考えております。」
「戦…だと?よもやまた、あの様な…。もし再びそうなれば、次こそ大陸は人間諸共滅びてしまう!」
「その通りであります。故に、お二方はそれを止めようと動いております。私達もその一角を担い、こちらへと参っているのです。」
王は深い溜め息を洩らした…。
現王イマヌエルW世は、先の大戦時には未だ十歳に満たなかった。だが、その恐ろしさを肌で体験している。
いや…この大陸の全ての王は、先の大戦の恐ろしさと醜さを知っている。故に誰一人、その発端の一つであるゾンネンクラール旧皇家については語らず、歴史の闇に封じ、互いにあの様な戦を起こさぬよう戒めを作ったのであった。
それは今日までも?協定?として生きている。
決して妖魔の力は利用しない一これは死守されるべき盟約なのだ。
その力は人の身に余る。どれだけ力ある魔術師でも神聖術者でも抑え切れるものではないのだ。
それはクラウス然り、五人組然り…であったのだから。
王は玉座で当時を振り返り、イェンゲンを見据えて言った。
「身勝手と思われるだろうが、我らに力を貸してもらいたい。この国の民を救うため、この大陸に新たな戦を起こさ
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