427部分:夏のそよ風吹く上をその十
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夏のそよ風吹く上をその十
「じゃあ明日夢、ここはやっぱり」
「サウナなのね」
「ええ。私も連れて行くわ」
恵美は静華と春華をそれぞれ両肩に担いだのだった。
「これでいいわね」
「おいおい、二人一度かよ」
「また凄いな」
「明日夢は一番背の高い凛持ってるから」
なお明日夢が一番小柄である。一番小柄な人間が一番背の高い人間を持っているというわけである。これがかなりの負担なのは言うまでもない。
「だから私はね」
「ほら、奈々瀬」
「うん」
茜はまず仲のいい奈々瀬の肩を持った。続いて。
「咲も」
「大丈夫よ」
「大丈夫じゃないから。ほら」
「うん。じゃあ」
ここは大人しく従う咲だった。こうしてそれぞれ担いで風呂に連れて行くのだった。
「ああ、それでな」
「どうしたの?今度は」
「電気風呂には入れるなよ」
こう明日夢に忠告する佐々だった。
「酒飲んでるからな。御前等も入るなよ」
「ええ、わかったわ」
佐々はこのことを忠告したのである。
「それはね」
「こっちは下手したらサウナ以上にやばいからな」
「まずは水風呂に入ってそれからサウナよね」
「その前に身体洗え」
最初はそれだというのである。
「それでも結構酔いは醒めるからな」
「了解。それじゃあ」
「その時は頭から水を被るんだ」
そうしろというのである。
「いいな」
「わかったわ。じゃあそうするわ」
「お水って?」
「お風呂に行けばわかるから」
こう自分が担いでいる凛に答える明日夢だった。
「すぐに」
「あっ、お風呂入るの」
凛は今更のようにそれを把握して少しとぼけたような声で言うのだった。
「じゃあ少年一緒に入ろう」
「一緒に入るから」
それはもう言うまでもないことだった。
「だから入ろうね」
「背中流してあげるから」
言いながらまたその長い脚と短めの手を明日夢の身体に絡めさせる凛だった。
「他の場所もね。洗ってあげるから」
「私もそうしてあげるから」
「それで一緒に入ろうね」
「うん、だからね」
絡む凛をとりあえず離そうと必死になっていた。
「行こう、お風呂にね」
「うん。それじゃあ」
「未晴も一緒だったらよかったのに」
不意に奈々瀬が連行されていく中で言った。まさに五人は三人によってスーパー銭湯に連行されているといってもいい状況だった。
「そうしたらもっと楽しかったのに」
「未晴か」
それを聞いて考える顔になった正道だった。
「そうだな。あいつもだな、やっぱり」
「風邪なんて大嫌いよ」
次に言ったのは咲だった。
「未晴いないって何なのよ。早く顔が見たいわよ」
「はいはい、わかったから」
その奈々瀬と咲をそれぞれ左右の肩に担いでいる茜が困った
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