第百四十六話
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第百四十六話 美術館の中で
カーミラは雪路を連れて今度は美術館に入った、そこは神戸でも有名な美術館の一つだった。そこに入り。
雪路に並べられている絵画や彫刻品を見せつつ彼女に尋ねた。
「どうかしら」
「こうして美術品を観ることは好きです」
雪路はカーミラに微笑んで答えた。
「とても、ただ」
「お酒を飲んではなのね」
「これまでなかったです」
「そうね、けれどね」
「飲んでいてもですか」
「美術館に入って芸術を観ることはね」
このことはというのだ。
「いいことなのよ、むしろ飲んでいると」
「いいのですか」
「ええ、普通ではわからないものがわかったりするわ」
飲んでいない状態、つまり素面ではわからない時があるというのだ。
「だからね」
「飲みながらでもでもですね」
「美術館には入っていいし」
カーミラも芸術を観つつさらに話した。
「そして観てもいいのよ」
「そうなんですね」
「実際にいいでしょ」
「はい」
雪路は微笑んで答えた。
「今は」
「そうでしょ、だからね」
「このままですね」
「お昼までね」
「また飲みますね」
「その時までね」
こうしてというのだ。
「観ていきましょう」
「わかりました」
「酔っているとそれだけで楽しくなるけれど」
「芸術を鑑賞すると」
「余計にいいものだから」
「絵も彫刻もですね」
「観ていきましょう」
「そうします」
「あとお花もね」
こちらもとだ、カーミラは話した。
「お昼は楽しみましょう」
「そちらもですね」
「それはまたお昼ね」
昼食の後でというのだ。
「いいわね」
「それでは」
雪路はこくりと頷いた、そうしてだった。今はカーミラと共に酒が入った心地よい状態のままで芸術を楽しみ普段と違う感じるものを感じ取っていた。
第百四十六話 完
2019・3・29
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