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Blazerk Monster
千里の旅も記録から
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殺って……家畜とかを殺すことですよね」

 あまり人の名前につけるには相応しくないと思うしそれをかっこいいと笑顔で言うのも不思議だが、千屠という少年からは一切の嘘を感じない。変わった少年の言動に戸惑っていると、千屠は口先を尖らせる。

「誰も手を上げないなんて遠慮の塊だなー。じゃあ三対一でもいいよ! それでも初心者相手に負ける気しないし。なーダチ」
「オオンッ」
「三対一!? 涼姉、この人って……」
「あれあれー? 見られてるのにも気づかなかった上、引率のお姉さんに聞かなきゃ勝負も出来ないの? 仮にもトレーナーの癖になっさけないなあ」
「オオッ!!」

 あからさまな挑発をする少年とオオタチ。巡はむっとして言い返す。

「そんなことない、ポケモンバトルなら一対一でだって受けてやる! なあクロイト!」

 アリゲイツも大顎を開いて威嚇する。奏海と明季葉もそれぞれフォッコとモココをボールから出した。

「巡兄さま、僕達も加勢します」
「いい、俺一人で――」
「明らかに安い挑発……相手が三対一でいいって言ってるんだから遠慮はいらない」
「あはっ、やっとその気になってくれた? 一対一でも勝負でもよかったけど、それだと一瞬で終わっちゃいそうだからさー涼香姉ちゃんも文句ないよね?」
「妙なことしたら即座に手を出すわよ」
「しつこいなもう。いるいる、自分が平気で人を裏切るからって疑り深い奴ー」
「……ッ」

 涼香が硬直し、辛そうに少年から目を逸らす。何故そうなったのかはわからない。でも、笑顔を浮かべる少年の態度はわざと涼香が傷つくように言っているとしか思えなかった。オオタチが、助走をつけ飛び跳ねると小川を飛び越え巡達の近くまでくる。

「あれー? 気に触っちゃった? そんな風に目を逸らしたって何も変わらないのに」 
「おいっ! 今戦いたい相手は俺たちなんだろ! クロイト、『水鉄砲』!」

 アリゲイツの口から吐き出された水が千屠に向かう。だが彼の首に巻き付いていたオオタチが前に出て水を受け止めた。ケロッとした顔の後体を震わせて水を弾く。千屠の顔にしぶきが飛んだが巡の言葉も合わせて蛙の面に水だ。

「よし、じゃあやろっか! 言っとくけど、その程度水浴び程度にしかならないから――勝つ気があるなら、もうちょっとはマシな攻撃をしてみてよね! 俺の大太刀は、強いよ!」
「涼姉にいきなりあんなこと言うお前には負けたくない! 奏海、明季葉ちゃん!」

 アリゲイツ、フォッコ、モココが千屠のオオタチと対峙する。抜き打ちの勝負が、始まった。



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