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Blazerk Monster
千里の旅も記録から
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それともジャバウォックですか!?」

 男二人が悲鳴を上げる。それを聞いた目の前の異様な人物は腹を抱えておかしそうにした後喋った。

「あははははっ! キメラってなんだよそこまでビックリしなくてもいいのに。ダチ、降りていいぞ!」
「オオッ!」

 包帯をほどくかのようにしゅるしゅると音を立てて頭部のとぐろが解けていく。そこにはちゃんとふつうの人間の顔があった。真っ白な短い髪、小顔だが気が強そうな少年だ。巻き付いていたそれは地面へ着地すると二本の足で立つ。白茶の毛並みにやたら細長い動物の身体。背丈はここにいる人間の誰よりも大きく二メートル近くあるだろう。そんなポケモンが肩に乗って巻き付いていたということだ。奏海が図鑑で照会する。

「どうながポケモンのオオタチ……実際に見ると本当に長いですね」
「歩いてたらなんか大所帯でわいわいやってるのが見えたからーちっと観察してみようかなって思っただけ! どろぼうとか言われたけどそんな気は特にないよ。なーダチ」
「オオッ」

 見ていた理由を説明した後、少年はオオタチに屈託のない笑顔を浮かべる。巡はひとまず安心した。

「じゃあよかった……この辺を歩いてるってことは、俺たちと同じポケモントレーナー?」
「同じじゃないよ。俺は旅を始めたばっかりのあんた達よりもずっと先輩! いや、正確にはOBかな? まあどっちでもいいけどー」
「僕達が旅を始めたばかりだと知ってるんですか?」

 奏海の質問に、少年が一瞬目を逸らした。その後首を振る。

「知ってたって言うか、俺がじっーと見つめてるのに全然気づかずお喋りしてたら誰でもわかるよ。あ、そういえばお姉さんは例外だったね」
「で? あんたは何か用でもあるの? 一応こっちも暇じゃないんだけど」
「涼姉、俺のレポートが大事なのはわかるけどそんな風に言わなくても……」

 涼香が露骨に警戒心を剥きだして聞く。今まで巡が見た限り涼香は人に好意的に振る舞うことはなかった。とはいえ、こうつっけんどんな態度を取ることはなかったので珍しいと思う。しかし少年は怯む様子もなく肩を竦める。

「用も何も! 見かけたトレーナー相手にやることなんて決まってるじゃん。姉ちゃんわかってて言ってるでしょー?」
「……なら、私が相手になるわ」

 涼香が巡達を庇うように前に出る。ヘルガーも既に傍らで前足に力を籠め、いつでも飛び掛かる体勢を取っていた。

「姉ちゃんさあ、そんなに構えるなって。俺はただ後輩トレーナーとポケモンバトルがしたいだけ! そっちの巡と奏海と明季葉だっけ? 誰か俺と勝負してみない?」
「名前……知ってるの?」
「会話が聞こえたからね。ついでに自己紹介しとくと俺は千屠! 千円の千に屠殺の屠って字を書くんだ、かっこいいだろ!」
「屠
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